01/08 24:30、「テイルズ オブ グレイセス」終了。
最終セーブ 64:04、Lv.65、エンカウント数1048
●物語
ウィンドル、ストラタ、フェンデルの三国が微妙なバランスで均衡を保っている世界(後に「エフィネア」と呼ばれる)。ウィンドル国内ラント領から物語は始まります。領主の息子である長男アスベルは良く居る腕白坊主。次男のヒューバートは気弱ながらも大人顔負けの博学さを持ち、体が弱いもののお転婆なラント家執事の孫であるシェリアと共に平和な日常を過ごしていました。ある日、アスベルとヒューバートは行くことを禁じられていた裏山へ出かけ、花畑で記憶を無くした少女と出逢います。彼女に「ソフィ」という名を付けたアスベル達は、ソフィの記憶を取り戻す為に小さな冒険に繰り出すことに。その頃丁度ラント領を訪れたウィンドル王国王子リチャードとも友情を深め合い、友情の証を立てたアスベル、リチャード、ソフィ。「いざという時は俺が守ってやる」というアスベルの小さな自信が揺ぎ無いものに変わって行く中、それを打ち砕く出来事に遭遇します。「何でも出来る」と思っていたアスベルは如何に自分が無力であるか、「守る」ということがどれだけの意味を持っているのかを強く強く感じることになりました。この事件を切っ掛けにアスベルは領を飛び出し騎士学校の門を叩きます。それから7年の歳月が流れ、18歳の青年に成長したアスベルは、騎士学校卒業目前で父の訃報を聞くのであった…、という感じで物語ば始まります。
今回、幼少期と青年期の2部構成でゲームが進められる為、青年期で描写される”想い”のベース(行動理念)がプレイヤー側にも伝えられているという点で、これまでのシリーズと比べて心情描写部分において良い効果は生んだな、と思いました。ただ、ゲームとしてそれほど長編な訳でも無く、色々な要素が入っていた割には比較的こじんまりとした話と感じてしまいました。
しかしながら、「守る強さを知るRPG」というジャンル表記にもある通り、終始色々な形で”守る”ということを伝えて来ました。父から息子へ、親友同士、姉妹同士、仲間同士、過去から現在そして未来へ。実感として分かるだけにメッセージ性も強く、訴えかけるものは「テイルズ オブ」のシリーズ中でも高いレベルであったと感じました。余韻をキッチリ持たせてエンディングへ結ぶ流れは素直に良かったです。同じWii作品である「ラタトスクの騎士」のエンディングもその点は似ているので、Wiiのターゲット層を意識したものなのかな?と。
●キャラクター
幼少期を経たメンバー4人とそれ以外のメンバー2人という顔ぶれで、纏まり具合も含めて良いパーティだったと思います。キャスト陣も櫻井孝宏、花澤香菜、水島大宙、河原木志穂、植田佳奈、東地宏樹、浪川大輔など「テイルズ オブ ハーツ」ともまた違った若々しい顔ぶれで、物語を楽しませてもらいました。個人的にはパーティメンバーが沢山いるよりも、6名くらいのメンバーでそれぞれが抱えたものを皆で共有して1つ1つ前に進んで行くことで結束が強くなる描き方をする作品が好きなので、今回の「グレイセス」はそんな面からもかなり楽しめたと思います。ヒロインは紛れも無くソフィではあるのですが、個人的にシェリアの様な立ち位置は好きですし、パスカルの様な天才肌のマイペース加減も好きですし、マリク教官の茶目っ気も好きですし、ヒューバートの隠れた優しさ(特にパスカルに向いている気持ち)も好きですしね。アスベルは物語を引っ張る主人公として、声が櫻井孝宏さんということもあり、キャラクターの背景も手伝って「コードギアス」のスザク的な印象を受けるのですが、根っこの所でどちらかと言えば「.hack //G.U.」のハセヲに通ずるところも多いです。何れにせよ「色々な出来事を経て1つの結論に辿り着き、それだけの覚悟を持って事を成す」というタイプのキャラクターとして、櫻井さんはバッチリ合っていたと感じました。
●システム
「親切に見えて随分不親切だな」と感じたことが終始消えなかった、というのが率直な感想です。システム的に色々凝っていて、それを自然に体得させる様に導いてくれれば良いものを、「こんなことも出来るんだ、試してみてね!」的な説明を、戦闘終了後の事後報告みたいに入れられても、プレイヤーの頭には何も入って来ません。「ヴェスペリア」はその点、少しずつ新しく出来ることを積み重ねて行く様になっていたので、プレイヤーが意識して色々なことが出来る様になっていましたから、これは「退化」と言っても良いのではないか?と思ってしまいます。しかしながら、新しいことをやろうとする志は好感が持てました。
一応、痒いところに手が届く様なシステムにはなっているのですが、私の様にマニュアルを一切読まずにプレイするプレイヤー(爆)としては、もっと直感で遊べる工夫もして欲しかったと思います(これまでシリーズを通して遊んだ中では、かなり分かりにくいシステムだったと思います。ちなみに、退却のやり方も最初は全く分かりませんでした(爆))。
その一方で、シリーズ最高と思えるシステム(?)は「サブイベントに関連する人に吹き出しが出る」「サブイベント開始箇所に星マークが浮かぶ」「宿屋の依頼システム(サブイベント関連)」の3つ。これまでの「テイルズ オブ」は、サブイベントがいつ始まっていつ終わったか、誰に話しかけることで開始されるのかなど本当に分かり辛いものだったので、それが明示された今回はとても遊びやすかったです。しらみつぶしに話しかけずとも、一目瞭然なのは嬉しい限り。クエストとして認識されたものは宿屋に一覧として出ている為に、時間を置いても確認出来るのも良い点です。それでもサブイベント進行に際し、次に何処に行ったら良いかが明示されないものに関しては結局各地を色々周る必要があるのは変わらないので(笑)、そこは従来と同じ感覚かも(世界が小さいのは救いかな)。また、これまでは宿屋に泊まることで発生するサブイベントも多かったのが、セーブアイコンの近くでスキットが発生し、それによりサブイベントに繋がるのも分かりやすくて良かったですね(移動中に何かあればかならずセーブアイコンに行けば新たなスキットが観られるので、これまでよりは漏れが少ない。それでも確実に漏れはあるでしょうけれど)。その分、「フィールドなら何処でもセーブが出来る」というシステムは今回無いので、そこはちょっと残念でした。まぁ、割と頻繁にセーブアイコンは出て来るので実害は殆どありませんでした。
今回、一番腹が立ったのは「砂に埋もれた遺跡」の最深部にある電流のパズル。試行錯誤している中で、失敗すると全てリセットされてしまうのは如何なものかと(しかも回転させるスイッチが時計回りに順に回すしか無いので、好きで失敗している訳ではないから余計にそう思う)。何が何処まで正解なのか、プレイヤーも整理が付いていない中でオールリセットされてしまうのは不親切極まりないと思いました。結局、紙に書いて紙面で整理してからゲーム側で試したら、そこまで苦しまずにクリアしましたが、これって最初から紙上で考えろという意味でしょうか…(苦笑)。また、ウォールブリッジでのかくれんぼもちょっとてこずりましたね。見えない位置に隠れているのは割とすんなりだったのですが、通せんぼしている所は参りました。全く隠れずに膝を抱えていた子の奥へ行き忘れるという自分のミスもあって8人全員見付けるのに1時間以上かかってしまいました(苦笑)。他にもシャトル墜落現場でのヒューマノイド自爆の戦闘も酷いかな…と(10回以上やり直した上、最後は良く分からず勝利(無傷2名。戦闘不能2名)…)。何だかサブイベント系でのムカつきが多いですね(笑)。
デュアライズに関しては、ある程度総当りで沢山の素材・アイテム類を作ることが出来るのは良いものの、もう少し整理しやすい配慮をして欲しかったですね。特に沢山増えて来た時に選択が面倒でした。また、欠片を使用しての武具強化や宝石抽出などは、決して分かりやすいものではなかったと感じたので、「やって覚える」という形ではなく、「有用性を体験させる」というものにすれば良かったと思います。恐らく、プレイヤーの中には一度も使わずに終わった人も多いのではないか?と。
エレスポットも料理に限らず、ドロップ率や獲得経験値を上げたりなどの効果が沢山あるのは良いのですが、多過ぎてそれぞれを使ってみるということを殆どしませんでした。その為、ポットのセット数が終盤まで増えておらず(汗)、こちらも「便利さ」というのを最初に体験させる様にして欲しかったです(中にはラストダンジョンに入る頃に初めて知った効果もあったくらい(爆))。
アイテム類は「グレープグミ」や「エリクシール」など、使い勝手が良い割には安い(デュアライズで生成出来るものも多い)ので、これまでの「テイルズ オブ」に比べると、高価と言われるアイテム類もガンガン使える点は「易しくなった?」と思うところではありました。
称号は多過ぎて集めきれないだけでなく、殆どの称号を「MASTER」まで持って行かずにクリアに到達してしまいました(まだNewと表示されているものがあるくらい)。あり過ぎるのも考え物ですよね…。
●戦闘
基本はこれまでの「テイルズ オブ」と同様なのですが、戦闘フィールドを大きく使っていることで、かなり変わった印象を持ちました。特に「アビス」「ヴェスペリア」「イノセンス」「ラタトスク」の様な3Dタイプではありつつ2Dシリーズにも近い感覚で遊べる、というものよりもっと立体的に感じます。これはエンカウント時の敵配置がパーティ正面(敵は右位置)ではなく、前後左右にバラけている為、戦闘フィールドを縦横無尽に走り回る戦闘になることが印象の違いなのかな、と。戦闘時のカメラ位置を変更することで従来シリーズに近い状態にすることも可能ですが、結局全体が見えない為、仲間が知らないところで囲まれて勝手に死んでいたりする等の問題もあって、私は「全体を入れる」カメラで終始プレイし続けました。その為、キャラクター同士が離れると小さくなってしまうのですが、プレイに支障は無かったです(逆に派手な術をちゃんと見れるのは良かったかも)。
次に随分と異なる印象を受けたのが、スキルと装備品について。スキルと称号が連動し、称号の中に複数のスキルがあり、称号を装備して使い続けることでスキルを習得出来る他、称号自体にも装備効果というものがあり、それによって随分と難度に差が出ます(特にダメージ軽減系の有無は相当変わります)。また、装備品として「○○リング」「○○シンボル」というものが無くなり、それらは称号に取って変わり「全ステータス異常防止」の様な便利なものが無い為、がむしゃらに突っ込むスタイルでは戦い辛くなり、チェインキャパ(攻撃回数制)の導入もあって、微妙に爽快感を抑制されてしまっている感じはあります。ただ、アラウンドステップによる周り込み回避が可能になっている為、慣れればそこそこ爽快に(例えばノーダメージで)戦えるので、一長一短なのかもしれません。ただ、フリーランをすることでチェインキャパやクリティカルゲージが減少したり、アラウンドステップ、属性や鋼体などを的確に考えて使うことでチェインキャパを回復させるなど、プレイヤー側のテクニック向上が割と必須となっていることは、過去の「テイルズ オブ」と比べても難度が高くなっている様に感じました。特にボス戦の一部や、終盤(繭の中)はかなり厳しい戦いを強いられ(呪殺を持つ奴が混ざると酷い)、私の中では「リバース」と同様の大変さを味わいました(って、「リバース」はランダムエンカウント且つ長い為、厳しさは圧倒的に上ですが(笑))。
それでも、状況を確認しつつちゃんと対処すればそれだけの成果も出るという意味では、作業にならない戦闘ということで楽しいです。特に最後のガルディアシャフトは集大成だからなのか、凄く楽しくプレイしていた自分が居ました(笑)。理解するのも慣れるのも時間は必要としますが、時間を掛けただけの成果は出ると感じます。もう少し遊びやすさや直感的理解が出来る様に追求して行けば良いシステムになるのではないかと思います。ちなみに、これまでのシリーズ中、1、2を争うくらいに好きなLMBSです(今回のSS-LMBSにEFR-LMBSのフェイタルストライクを導入してくれれば最高なのですが)。
ラスボスは2連戦なのですが、1回目の方がちょっと大変でした。ちょっと変なターンに入って全滅の危機に晒されてしまうことがあったものの、何とか持ち直して撃破。2回目は最後の最後で秘奥義を食らって全滅しそうになりましたが、こちらは1回目に比べれば比較的安定した戦いが出来たので然程苦労はしませんでした。どちらかと言えば、終盤突入時の繭の中での2連戦の方が厳しかったです(この時はまだ自分の戦闘スタイルを確立していなかったので、結構がむしゃらでした(笑))。
●音楽
歴代「テイルズ オブ」の中でも音楽の印象はかなり高い方で、最初は印象が薄い?と感じていたのですが、ゲームを進めるうちにそこは払拭されました(どうやら幼年期の楽曲に問題があった様です)。序盤から割と多くメインテーマ「まもりたい」のアレンジが使われたことも印象を深くした理由だと思うのですが、土地や街などの雰囲気を的確に表せていたのが一番大きな理由だと思います。
今回一番効果が高かったのはラストバトル周辺の演出でしょうか。お約束的な展開とも感じる部分はあるのですが、心が揺さぶられてしまうのだから仕方ありません(笑)。早くサウンドトラックが欲しいです(これまでは割とゲームが終了するまでには発売されているケースが多かったので、今手元にそれが無いのはちょっと悲しい)。
●グラフィック・映像
今回は感覚的に「トラスティベル」の様なマップ構成で、実際に歩き回る「ワールドマップ」というものが無く、地域毎の「フィールドマップ」が存在している状態だった為、フィールドとしてのスケール感はとても良く表現されていたものの、世界としてはあまり大きく感じられませんでした。終盤「シャトル」にて自由に各地域に移動出来るものの、自分で3Dフィールドを飛べる訳ではなく場所を選択するだけなので、余計に「小さな世界」と感じてしまったのでしょう。それでも、フィールドや街のグラフィックは綺麗で、広さはともかく(笑)しっかりと作り込まれていたと感じました。
ダンジョンもそれ程難解ではなく、ギミックにて狭さを感じさせない配慮をしていたとは思うのですが、それが鼻に付くくらいに「スイッチを入れて戻って…」の様なマップが多かったのは残念ですね。まぁ「テンペスト」の様にスラロームさせて時間を稼ぐマップよりも「謎解き」として楽しんだので良しとします(それでも何度か行き来しなければならない場所も多く、その度に敵との戦闘になることも多いので、かなり面倒に感じました)。
それと、思っていたよりもムービーパートの量が多いな、というのが印象です。逆に言えば、ゲーム画面上では表現し辛い演出が多かったのかな?と思うのですが、「英雄伝説VI 空の軌跡」をプレイした今、ムービーで逃げている様にも感じられてしまったので、「ここぞ!」という時に挿入して欲しかったというのは贅沢な悩みでしょうか(笑)。それでも、歴代「テイルズ オブ」の中でも、オープニング映像は3本指に入れても良いくらいに好きになれました。
●その他
お約束の「温泉」は無かったもののプールはありましたし、「漆黒の翼」もありました(進める度にアーネのコック帽(笑)がどんどん長くなって行くのが爆笑でした)。サブイベントは宿屋で依頼一覧として見られたり、システム「トラベル」の中に経過が書かれる(「英雄伝説VI」のブレイサークエストみたいなもの)ので、自分で意識して進めることが出来た為、ファーストプレイとしては過去のシリーズで最も丁寧にプレイ出来たと思います。「シェリ雪姫」とかメカソフィとか好きなのも多く、シナリオに「闘技島」も含まれていたので、これまでは「余裕があればプレイする」という感じだった闘技場も、本編中に遊んだりしたのも新鮮でした。そう考えると、全編遊ばせるシステムとしては非常に良く出来ていたと改めて思いますね。
やり込み要素としてはとてつもなく多い様に思えるので、何度も繰り返し遊ぶには良いソフトかな…とか思ったら、噂によると周回要素としてのグレードショップによる引継ぎに不具合があるらしく、周回を重ねてどんどんブランク部分を埋められる訳では無いことも手伝って、遊び尽くすのは相当の覚悟が必要になる様です。この辺りはちょっと残念かな…。
クリア後にボーナスダンジョンが現れたので、そちらは取り敢えず周ってみようかと思います(クリア後のLv.65の状態で大煇石の竜を2匹倒しました。残り1匹はHP1/3にした時点で攻撃が変わってアッと言う間に全滅。流石にこのレベルでは勝てない? ロックガガンとの対決も未だしていない…、闘技場でのマスターズクラスも挑んでいない…など、まだまだやれることはありますね(笑))。
色々長々と書き殴りましたが、発売から約1ヶ月で無事に終了させることが出来ました。なかなか思う様に時間が取れずに日数は掛かってしまいましたが、今回も十分楽しむことが出来ました。これで放置している「レディアントマイソロジー2」に戻れます(爆)。
次の新作がいつ出るかは分かりませんが、春先には何かしらの発表がなされ、6月の「テイルズ オブ フェスティバル2010」で色々披露してもらえると思うので、それまでのんびりとこれまでの「テイルズ オブ」を楽しめたらと思います。
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