04/26 22:40、「.hack//Link」終了。
最終セーブ(到達した時点で行けるシナリオ全てクリアした状態) 49:58、トキオLv.89
●物語
「.hack//G.U.」で登場した「The World R:2」から3年。2020年の世界で「The World」も「R:X」となり、オーヴァンの発動した「再誕」によるAIDAの消滅後、サービスが中止された「The World」の再開。その再開を楽しみにしていた主人公である九竜トキオ(中学生)は、ゲーム好きながらも受験を控えた身である為にプレイを止められていた。「RPGの勇者になりたい」という強い想いを抱くトキオは、「The World」での伝説のプレイヤーである「カイト」に強く憧れていたからか、自分が勇者となり、囚われの姫を救う夢を度々見ていた。
ある日、トキオのクラスに転校生がやって来る。天城彩花というその女の子は、トキオの夢に出てくる囚われの姫とそっくりであったのだ。
彩花に呼ばれ、1枚のディスクを受け取るトキオ。そのディスクを起動するや、トキオの体は「The World R:X」の中に取り込まれてしまった。
そこでトキオが目にした光景は、伝説の勇者カイトと謎のPC「フリューゲル」との戦闘だった。状況が分からないトキオに襲いかかるフリューゲル。それをかばったカイトは石化してしまう。自分の為に石化してしまったカイトを救いたいと思うトキオは、「The World」にトキオを送り込んだ張本人である彩花にこき使われながら、この現実の真実に近づいて行く…、といった感じの物語です。
一応、「.hack」のシリーズの最終章ということだったので本作が完結編であると思っていたのですが、限定パッケージに封入されていた特典映像を見る限り「最終章」の第一章らしく(汗)、エンディングを迎えた今、それが本当であることが分かりました。というのも、エンディングを迎えた後、アカシャ盤に「.hack//Link」の時代である2020年から未来となる2024年が登場し、そこで予告編が観られる様になったのです。この先、どれくらい付き合うことになるのでしょうか…。
それはそうと、2007年の「fragment」から2020年の「The World R:X」まで、全ての「.hack」シリーズに関する物語を凝縮し、トキオが「アカシャ盤」と呼ばれる時代の運航表のようやものを修復する為に過去の「The World」に関わる様にしたことで、歴史を強制的にプレイヤーがなぞることになり、それぞれに触れられる様にしたのは良いのですが、あまりにそれが凝縮し(端折り)すぎなので、各物語で感じることの出来る「感動」は微塵も味わえません(苦笑)。この感覚は「Fate/stay night」のreproductionの映像と同じ(笑)。
明確に「.hack //Link」の話に関わり始めるのが「.hack //G.U.」に入ってからなので、序盤は端折った物語をなぞるだけに終始する為にゲームに対する惹き付けが弱く、「物語の先が見たい」という思いが強くなければ、ゲームを途中で投げてしまう可能性があるのは残念なところですね。PSPというプラットフォーム上、容量的な問題もあって仕方が無いとは思いますが、本当に楽しむ為には過去の作品をそれぞれのリリース単位でちゃんと楽しむ必要があるという意味で敷居の高いゲームになってしまったかな…という印象です。
●キャラクター
新規キャラクターとしては、トキオと彩花、AIKA、シックザールの面々くらいしかおらず、その他はこれまでの「.hack」シリーズに登場した各種メディアの中の主だったキャラクターで構成されています。シリーズの殆どをなめて来ているので知らないキャラクターは居ないのですが、先にも述べた通りこれまでの「.hack」シリーズをどれくらいやっているかが楽しさを大きく左右します。
新キャラも魅力的ではあると思うものの、やはり深く掘り下げる話があまり無い為、主人公のトキオですら好きになれる瞬間が本当のラストまで無いといった状況は、もう少し何とかならなかったのかな、と思いました。しかしながら、シックザールのフリューゲル、クラリネッテ、チェロの3名(特にクラリネッテ)は気に入ることが出来ました。
絵柄は割と好みで、やり取りのほぼ全てがコミック風のビジュアルで行われる為、これまでの「.hack」シリーズの様にCGだったりゲーム画面上での表現が行われないことで、キャラクターの印象がアニメ作品を観ている時と変わらない感覚となりました。
●システム
物語として「話の先が見たい」ということが自分の中の主軸である為、これまでの「.hack」同様、どうしても「足かせのあるアドベンチャーゲーム」という感覚が拭えません。特に今回、プラットフォームがPSPになったことで表現に限界があることだったり、容量の絶対数が少ないことの影響で、これまでの「.hack」「.hack//G.U.」よりもゲームとしての質は下がり、作業感が物凄く強いものでした。
更には自分が考えて行動することが無く、全てチェックの付いたアイコンを選んで行くことで進めるだけであり、チェックの付いていないものを選んだとしても、本当に意味の無いことばかりなので、余計に作業感が強くなります(エリアに居る他プレイヤー達も存在している意味が全く無く、タウンに居る他プレイヤーもシナリオ外の場合は存在意義が無いなど、遊びのバリエーションが無さ過ぎる)。
「The World」の各時代を移動する為の母艦となる「グランホエール」が行動の中心となり、冒険を進める上で増えて行く仲間はこの船に全て集うのですが、誰をどの部屋に配置するかによって色々な効果に影響を及ぼす様になっていたり、スキットが発生したりする仕様の割には、それほど重要でないこともあって殆ど使わず仕舞でした。仲良しの人同士を配置しても、しばらく経つと怒り始めるし、面倒なだけで効果や価値が高いものであるとは感じられませんでした(発生するスキットは全て音声無しで、しかも大した内容でないものばかり)。
メールを受信し、読む為にPSPを縦持ちしなければならないのは面白い仕様と思いますが、それをわざわざやらせるほどのものは無く、面倒なだけかな、と。
ゲームとして「シナリオ選択→導入部ビジュアルシーン→ダンジョン攻略→ボス戦→終了部ビジュアルシーン」をシナリオ数分繰り返すだけのシステムで、シナリオを選ぶ順番くらいしか自分の意思が反映されない為に、余程ダンジョン攻略が楽しくなければ…というシステムの割に、そのダンジョン攻略部分が単調であるのは残念でした(だから1日のプレイ時間を長く取ることが出来ず、クリアまでに日数が掛かってしまいました)。良く言えば手軽に遊べるということではあるのですが…(1シナリオクリアするのに平均20分くらい)。
●戦闘
ダンジョン攻略(RPG部分)については、ダンジョンマップの種類が少ない、マップが小さくて単調、敵(ザコやボス)の種類が少ない、敵の攻略パターンが単調(そのくせ、移動が異様に早い奴、上空にいてこちらの攻撃が届かない奴、地中に潜ってこちらの攻撃が届かない奴などイライラする攻撃が多い)と、個人的に褒められる部分が殆どありません。
また、一緒に回るキャラクターは1人しか選択出来ないことと、それらの職業がそれほど豊富である訳でない為、攻略中も割と単調。しかも、会話は殆どなく、キャラクターによって依頼される「リンクジャッジ」も面白味に欠け、アトリの様に「敵を見逃せ」という依頼がされることもあり、その依頼を聞き届けると自分の技術と関係無いところで攻略後の評価が下げられたりするのは、”個性”と感じるよりも”不条理”と感じます。
戦闘中、敵をブレイク状態にすることで発動するユニゾンコンボも、基本的にゲージを見てタイミングを計るシステムの為、戦闘シーンに目が行くことが少ないですし、コンボを重ねることでタイミングがシビアになるのは良いものの、距離によって「そんなの押せるか!」というタイミングを要求されたり、相手キャラのやる気の問題(?)で勝手にコンボを止められてしまったり、そのコンボの発動レベルに納得が行かなかったり(Greatが6つNiceが1つで、何故レベル3?とか)、コンボの目押し失敗時の「オーノー」という音声が気持ちを逆なでするものであったり、アクセントになるシステムであるにも関わらず、完成度が高いとは言えないな…と。
更に、ユニゾンコンボを重ねることで上がるゲージがMAXになると発動出来るクロスレンゲキもキャラ毎に色々あるのは良いのですが、その間に表示される好感度アップマークがランダムで出て来て(全く出ないこともあれば、5回くらい出ることもある)、派手な映像が出ている最中である為に非常にマークが見づらくて該当ボタンを押せないことも多く、そちらのイライラの方が上回ってしまうのはどうかと(しかもデモを飛ばせないし)。
最悪なのは、敵をターゲットしていて攻撃している最中に他の敵が入ってくると、そちらに攻撃が当たった場合に勝手にターゲットが移ってしまうこと。これは本当に激怒モノ。ザコ戦闘で、マップの出入り口付近にいきなり敵がいることも多く、戦闘中に出入り口に入ってしまい、仕切り直しになることも多々ありイライラ。残り一匹になると逃げまくってエリア転送する奴もイライラ(トキオがギアを使う様になってから、こちらが連続攻撃している最中でも敵が動いているので攻撃範囲外に移動され、こちらは技が出終わらない為に動けず、結果逃げられると本当に腹立たしい)。魔法攻撃する敵が複数いる場合に連続で攻撃を食らう場合も多く、吹っ飛ばされまくったり、ブレイクした直後にやられると激怒モノ。防御力低下の術を掛けられ、仲間がタコ殴りにされて戦闘不能になるのも腹立たしい。そして、ボス戦中にダメージを食らうと不必要に大きく吹っ飛ばされること。また近づき直さなければならずにイライラが募ります。魔法で眠らされ、攻撃を食らうまで何も出来ないというのもムカつきます(防御の術が無い)。そのくせゲームが単調なので、作業的にプレイしている身には、こうした”ちょっとしたこと”の積み重ねは大きくゲームの評価を左右してしまい、結果「面白くない」という印象しか残りませんでした。
ラスボスも含めた大型ボスの場合、周囲のザコをユニゾンコンボLv.3以上でふっ飛ばし、ボスのブレイクゲージを0にしてダウンを奪ってからでないとダメージが殆ど与えられないのですが、そのザコがわらわらと沢山襲って来て、こちらは集中して1匹と戦いたいのにターゲットが勝手に移り、しかもふっ飛ばされたりしてまたやり直し。やり直すとブレイク状態になる前に体力が0になり倒してしまい、また最初からやり直し…。難易度やバランスの問題というよりは、根本的なゲームシステム/ゲームデザインの問題の様な気がしてならないのは、本当に残念でした。
ちなみに、本編を進ませる以外のイベント(一応、ウィルスコア収集やレベルアップ用に用意されたエリアがある)は1つもプレイしていませんし、エリアの推奨レベルより8くらい少なくても攻略を進められたので、詰まることは全くありませんでした。そうして進めた結果、ラストは推奨レベルよりも15くらい高い状態でした…。
●音楽
基本的には良いと思うのですが、「.hack //G.U.」の時に感じた様な感動は全くありませんでした。ボス戦は全て歌が流れるのですが、これが「1番をフルコーラスで」というものでなく、中途半端に歌の前半だけ、という形式なので一番聴きたいところが聴けなかったりするのが気持ち悪いという印象が強くなってしまいました(苦笑)。また、歴代の「.hack」シリーズを総なめすることからも、「.hack //Link」としてのBGMがどれなのか、というものも含めて印象に残りづらく、「集大成」だからこその個性の弱さも感じてしまいました。
●グラフィック・映像
PSPというハードなので仕方が無いと思いますが、特筆するほどの綺麗さはありませんでしたし、各キャラクターのポリゴンモデルも正直「う~ん…」と思ってしまう出来でした。ただ、コミック形式のビジュアルシーンは綺麗でしたし、その中での動き、エフェクトは非常に凝っていたと思います。先にも述べましたがキャラクターデザインは好みで、OP映像のキャラクターデザインはどうかと思いますが(苦笑)、全体的にはまぁ、こんなものかな…と。
●その他
エンディングを迎え、新たに行ける様になったところも全て回って一区切り付いたものの、未だアカシャ盤の上には行けない場所が16個もあり、黄昏の騎士団の枠も3つくらい空いています(汗)。恐らくですが、キャラクターの好感度を上げて一定以上にしないと開かないのだろうと。私は好感度をMAXにしたのはミミル、昴、クラリネッテの3名だけであり、Xthフォームになったのは昴だけ。その中で一番贔屓にしていたのはクラリネッテで(ゲーム開始当初は昴かアトリを贔屓にするつもりだったので、この結果は予想していなかった(笑))、アカシャ盤の2020年上部にある単発のイベント群の1つ(クラリネッテとパイのイベント)が発生したので、他のキャラクターも好感度を上げなければ駄目そうですね。まぁ、作業になるのは確実な上、費やした時間分の価値があるとは思えないのでやる気は殆どありませんが(苦笑)。
ということで、ようやく、本当にようやく「.hack //Link」のエンディングを迎えることが出来ました。これで他のゲームが遊べます(笑)。「面白かった」というよりは「やっと開放される」という思いが強いのは残念ですが、5/9の「.hack //劇奏」には間に合ったのは良かったです。
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