劇場版「トライガン BADLANDS RUMBLE」
TVシリーズが終了してから12年近い「トライガン」が劇場公開作品になると聞いてから幾年。原作コミックの完結を読んでから数ヶ月。封切から1週間ちょっと経った本日、劇場に足を運んで来ました。本当に公開した事に驚くと共に、「トライガン」として直球ド真ん中の映像を完成にまで漕ぎ着けてくれたスタッフの方々に感謝したいフィルムになっていたと思います。
原作やアニメを薦めてくれたのは友人でして、これが無ければ名作「ガングレイヴ」を観ることも無かったと思うだけに観れて良かった作品だと思っています。当初は決して自分の好みとは言えないと感じていた作品だっただけに、作品の本質的なところを理解出来たからなのか、それを「魅力」として捉えることが出来たのも今にして思えば今回の映画の為だったのではないか、などとも感じています(笑)。
で、今回の映画。
先にも書きましたが、本当に”「トライガン」という作品が持つイメージを1本の娯楽作品として90分に収めたらこうなった”というド真ん中の作品になっていて、個人的には想像以上に好感触の映像でした。パンフレットを隅々まで読んでみると、目指していたのは”最高のB級映画”ということであることからも自分が感じた「トライガンらしさ」というのは原作者も含めたスタッフの狙い通りだったのかなぁと。
公開前に期待していたのは「ヴァッシュとウルフウッドの物語」だったのですが、エピソードとしての位置づけが物語全体の前半寄りだったこともあって(私はそう解釈している)、期待と異なるものではあっても楽しめたのは、作品としてキッチリと隙無く完成されていたことに尽きると思います。ヴァッシュの物語にガスバックとアメリアの物語が絡んで来る組み立てを感じることが出来て、「ラブ&ピース」の信条も感じることが出来た。脚本が黒田洋介氏から小林靖子氏に代わっても失われる事無く再現された「トライガン」としての物語と、それを今の技術で完璧にまで表現したスタッフ達に大きな拍手を贈りたいです。「今、何故にトライガン?」と思ったものですが、原作が完結した今だからこそ「確定した本質」を表現したフィルムなのだと、自分なりの”意義”も感じることが出来ましたし。
映像面では、デジタル映像ながらもフィルムっぽさを表現していたり、そんな砂漠から見上げた星空の綺麗さや、酒場のシーンやアクションシーンの飛び交う破片や弾の描写は神がかっていた(劇場作品だったとしても、あそこまで描かないだろうと感じるくらいの密度だった)し、観た瞬間の衝撃はそれ程大きくないのですが、良く良く思えば色々な凄さを感じられるというのが逆に”格好良いフィルム”と感じさせてくれました。その各場面を彩る新たに起こされた楽曲も高い効果を演出していたと思います。
物語においては、「トライガン」という世界の知識が無いと細かい部分が分からないので難しい部分もあるかもしれませんが、例え知識が無かったとしても「物語」としては完璧に理解出来ることだったり、それを「面白かった」と思わせる展開にはなっていたと思うので、コミックやTVシリーズを未見であったとしても楽しめる1作だったかな、と感じました。逆にこれでTVシリーズや原作に興味を持つ人が現れても不思議では無いです(今観るとTVシリーズは流石に古い映像ですが、ヴァッシュの格好良さは本物です)。
ジワジワと作品の良さを感じていることもあり、恐らく映像メディア発売の折は購入するのではないかと思います。
私はヴァッシュ程矛盾を理解して貫いている事もありませんし、その覚悟というものも無い人間だとは思いますが、振り直せないサイコロは何回か投げていると思っています。ヴァッシュの様にそんな行動が関わった誰かに影響を及ぼすことはないでしょうけれど、何かを考える切っ掛けを与えるくらいは出来るかもしれません。そんな事を改めて考えさせられました。
小難しい作品よりも、素直な活劇の方が実は考えさせられることが多いのでは?と思う、今日この頃です。
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