先日、「スマイルプリキュア!」を全話視聴し、現在放映中の「ドキドキ!プリキュア」もテンション落とさずに観続けられている今、「全プリキュア視聴完了」を目指して行動を起こし始めています(笑)。
そして、その第一弾として、友人が全巻持っていたことからも一気観が可能な「ハートキャッチプリキュア!」を選択。視聴開始してから1ヶ月くらいでしょうか。無事に全49話を観終えることが出来ましたので所感を残しておこうと思います。
シリーズの中でも人気の高い「ハートキャッチプリキュア!」は、これまた東映の人気シリーズだった「おジャ魔女どれみ」シリーズのスタッフが集結して創り上げた新たなる「プリキュア」ということでしたが、「おジャ魔女どれみ」のシリーズも数えるほどしか観ていない私にとっては前提知識はゼロと言っても良いものでした。それでも映像から受ける印象は正に覚えている「おジャ魔女」そのもの。「プリキュア」シリーズに対しても語れるものを持っている訳ではない私が感じた「ハートキャッチプリキュア!」を全話観終えた時の感想は、「絵柄が可愛らしい割には内容がハード。物語の骨格が割と大人向けっぽいが、根底にあるテーマは”プリキュア”そのもの」というものでした。
序盤はつぼみとえりかの二人でずっと戦い、中盤でいつきを加えた三人に(#23~)。最初から登場してはいるものの、ずっと謎だったキュアムーンライトに関するエピソードを少しずつ積みながら、劇的な復活を遂げるのは終盤近く(キュアムーンライト復活の#33は本当に盛り上がりました)。敵組織にも視点が多くあり、幹部の三名、司令官的位置付けの博士、その裏に居るより大きな存在、そしてダークプリキュア。こうした配置からしても、物語の構成がメインターゲットの子供に分かりやすいとは言えないかな…と思う反面、ドラマが色々と展開する部分においては「スーパー戦隊」で私が好きなタイプに当てはめられるということもあり、物語として楽しんだのは間違いありません。ただ、それだけの厚みを持っていながらも敢えて掘り下げなかったのか、敵側の細かい部分(敵ボスであるデューンの憎しみの根幹、三幹部選出の背景、サバーク博士周辺(ダークプリキュアを生み出す部分、月影家周辺含む))、ダークプリキュアがムーンライトに固執する根幹(月影博士を巡り、本物がどちらか白黒付けるというものならば、そう意識する最初の目覚め部分)など消化不良に感じる部分もありました。色々なドラマがあったからこそ、逆にエピソードが分散しやすくなっていて、視点が多方面に振られたことでの切り替えの難しさも感じられました(伏線として機能している為、その当該エピソードを見逃した場合のリスクに繋がりますし)。しかしながら、主人公周辺の掘り下げはなかなかに丁寧で(特にクラスメート)、ゲストとして終わる事無く、デザトリアン化されたエピソードが終わった後もその後を描きながら積み重ねて行く様が、ココロポットに「こころの種」を集めるが如く終盤に掛かって来る(その集大成が、砂漠化した地球でプリキュアにエールを贈る人々に繋がっている)のが、とても気持ち良かったです。
本放送当時に観て記憶に残っている回は#7、15、22、38、43と5本しかなく、キュアサンシャインに絡むエピソードだったり、ハートキャッチオーケストラ初登場回だったり、「スマイル」の時と同様、変なポイントを押さえた視聴だったのが不思議ですが(笑)、ラストは結局観なかったというのがその当時の私のテンションだったのでしょうね。強烈に後押ししてくれる様なエピソードを観ていなかったというのもあると思いますが、同時期に「海賊戦隊ゴーカイジャー」を観ていた事を考えれば(こちらは録画していたというのもありますが)、もう少し観ていても良さそうなものなのに…と思ったりしました。
最初に観たシリーズが「スマイル」ということもあり、それと比較して感じる箇所も多くありました。
先ずは「プリキュア」が過去から連綿と繋がっている存在であり、つぼみの祖母が「キュアフラワー」であることもあって、未熟なプリキュア達を導く立ち位置に居たり、孤独に戦っていた「キュアムーンライト」の良き理解者だったり、薫子さんの存在の大きさや安心感。そして歴代プリキュアが繋いで来た歴史があっての今。「過去から未来へ」という部分が強く意識されていた様に感じた部分。
次に「妖精」の位置付けが、変身する為に必要な存在であること。それに加えて、途中からは妖精がマントになって一緒に戦っている部分が演出されたこと。
そして、敵に「スナッキー」という一般兵に該当する存在があったことで、幹部、司令官などの顔ぶれも揃っていたことで敵が「組織」として機能している様に感じたこと。
これら3つに関しては、完全に「スマイル」では無かったことであり、作品として「プリキュア」というシリーズで括れたとしても、骨格や肉付けは全然違うのだな、というのが分かって面白かったです。仲間が増えるタイミングも、「スマイル」では5話で全員揃い、途中で増えることもなく5人と妖精の絆を積んで行ったことに対し、「ハートキャッチ」ではつぼみとえりかの二人の時間がとても長く(初代「ふたりはプリキュア」への回帰も意識したのかな?)、その期間が若干冗長な感じもしました。えりかの存在に結構特殊な印象を受けつつ、つぼみとの対比でとてもバランス良くパートナーとなっていたのがちゃんと観られたという点を考えると、つぼみとえりかの間を描く長さはこれで良かったのだろうと思います。その後、いつきが加わって三人になってからは賑やか・華やかになって終盤へ向かい、初めから積んで来たゆりの話に決着を付けるのをラストバトルにまで持って来た事は、畳み掛ける演出と相俟ってかなり効果的に機能した様に感じました(それでも、つぼみとえりかの繋がりの深さを感じはしても、いつきやゆりのそれは少々薄くも感じる弊害?はありました)。全話の中で描きたい物語が色々ある為に、一方が一段落するまでは他方が放置気味になっている様に感じることもあったので(特に中盤から終盤に入る辺り)、ほぼ一話完結で伏線も多くない「スマイル」では感じなかった印象が残りました。
「スマイル」と比べて一番強く感じたのが、「劇伴の印象が薄い」ということです。それでも、本放映を殆ど観ていなかったのにも関わらず、今回の全話視聴で最初から覚えていた変身時のBGMは代表的なBGMとして作品を彩ってくれたと思います。逆に、今回は日常系のBGMがあまり印象に残らず、その為か各話あっさり観ていた様にも思います。また、挿入歌も結構使われていたのですが、効果的と感じたのが1曲しかありませんでした。しかしながら、その1曲である「HEART GOES ON」が流れたシーンは3つとも素晴らしく、作品を一気に盛り上げるのに大きく貢献していたと思います(ただ、最初にファッションショーで流れて間もなく、本編中で初スーパーシルエット披露時に流れる展開で使われたので、ベクトルの違う盛り上がりのシーンで同じ曲なのは勿体無いかな)。その他、演出手法として結果を先に描き、話が進行している途中で経過を描くことも多く、そうするだけでも要所を締めることが出来るのだな感じました。
「スマイル」のアカンベーと比べて、「ハートキャッチ」のデザトリアンは、心の声を吐露する形で暴れまわるため、絵柄の割にはかなり重たい内容を含む場合も多く、それでもそういった事を受け止め理解するという演出の中で大切なことを語るというのは「プリキュア」らしいと思いましたし、それに絡む様に花言葉が用意されていたのも印象深いものがありました(花言葉なんて私の中では「花の子ルンルン」以来かも?(笑))。
戦闘シーンは肉弾戦が多く、スピーディで迫力のある映像だったと思います。そんな中で、技名に「パンチ」と付いていながら、お尻だったりおでこだったり、時には全身だったりするのも面白く、そんな特徴的とも言える「パンチ」のシリーズがラストバトルで「拳」を使う。しかも、胸をこつんと打つ感じなのに、愛で打ち抜くその演出がとても印象に残り、パンチのバリエーションはこの最終回に繋ぐための布石だったのかと思うと驚かされます。
それと、別の意味で印象に残ったのは、ココロの種が生まれる瞬間の演出。初めて観た時に「ちょっと下品かな…」と思っていたら、私の他にもそう感じた人が多かったからなのか、途中から変更されていましたね(笑)。やはり、お尻を向けて「ぷりぷりぷりりーん」と言って黄色い水玉が弾け飛んでは駄目だった様です。調べてみたらこの件、何やらBPOに苦情が入って話題になっていたのですね。
その他では、鎌倉が実名で出て来たり、かかずゆみさんがゲストで登場した回があったり、私個人としても「おぉ」と思うエピソードがあって、多方面で楽しめた49本となりました。ただ、平均的に楽しんだものの、突出して「このエピソードが!」と言える回は、思ったほど多くなく、目頭を熱くさせる瞬間は1~2回あるか無いか(しかも終盤に集中)くらいだったのは意外でしたね(「スマイル」は割と平均的にあったので余計にそう感じました)。でも、その数少ない1回に当たる「父親を失い、怒りと憎しみで戦おうとするキュアムーンライトに、キュアブロッサムがそれでは駄目だと必死に言い聞かせる」シーンの台詞「悲しみや憎しみは誰かが歯を食いしばって断ち切らなければならない」は、とても大切なことを語っていたこともあって強く印象に残りました(内容は別として「トップをねらえ!」の5話で、ノリコがカズミを叱咤する時に似ている)。
後は最終回のBパートを丸々後日談に使ったり(つぼみの妹が生まれ、いつきのお兄さんが回復し、いつきは髪を伸ばして女子の制服を着ている等が観られたのは嬉しい)、つぼみのモノローグに「私達が戦った軌跡は忘れられてしまうでしょう」とある中で、つぼみがプリキュアとして活躍した時代から時間が経過してしまった後を映して(記念写真の色褪せだけでそれを表現)、その頃の想いを繋ぐ子(誰かは分かりませんが、つぼみの妹さんか娘さんかな?)が出て来たところで物語がクローズするという演出は、とても「ハートキャッチプリキュア!」の物語を引き立たせた上で、キッチリ着地出来た証だと思います。エンディングとして、とても綺麗だったと思います(アプローチは全く「スマイル」と異なるものでした)。
本編視聴後、映画「花の都でファッションショー…ですか!?」も視聴し、その映画の出来には頗る感心しました。というのも、つぼみ、えりか、いつき、ゆりとオリヴィエとの各々のやり取りに、短い時間ながらも全員の魅力を詰め込んでしっかり表現出来ていたと感じたからです。これは、公開時期がテレビ本編で最終試練を乗り越えたタイミングだったからこその言葉の重みもあり、映像の綺麗さや作画の素晴らしさは(特に百面相するつぼみの愛らしさは最高レベル)、本当に飽きさせずに、ゲストキャラクターのサラマンダー男爵やオリヴィエの役者陣(藤原啓治さんと大谷育江さん)も完璧な布陣で、個人的にかなり気に入った劇場作品になりました。テレビシリーズがあってこその映画ではありますが、個人的にはテレビシリーズよりもこの映画の方が好きかもしれません(笑)。
そんなこんなで、取りとめも無く書き殴ってしまいましたが、「ハートキャッチプリキュア!」を観終えることが出来て、この作品が多くの人に支持された理由も感じられましたし、そういった外部要因に左右されることなく、自分の見方で楽しむことが出来たのはとても良かったです。これで、9作品中2作品を観終えた訳ですが、このペースで行けば年内に半分くらいは消化出来そうな手応えですので、引き続き楽しんで行ければと思います(…って「プリキュア」だけになってしまわない様に注意しなければ…(笑))。
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