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2013年8月11日 (日)

「Yes!プリキュア5」全49話視聴完了

 「プリキュア全シリーズ消化」を目指し、シリーズをレンタルしまくっているここ最近。「スマイル」「ハートキャッチ」と順調に消化した中で、第三弾はどのシリーズにするか悩みました。結局、その見極めをする為に未見のシリーズである「ふたりはプリキュア」「ふたりはプリキュア Splash☆Star」「Yes!プリキュア5」「フレッシュプリキュア!」「スイートプリキュア」(継続モノは除く)の1枚目(3~4話)を全て観た上で「これ!」と決めたのが「Yes!プリキュア5」。理由は大きく2つ。「今に繋がる新たなプリキュアの開祖である」「スマイルのキャラクターデザインと同じ川村敏江さんであること」。ぶっちゃけ、他のどのシリーズも続きが気になってしまっていたのでどれでも良かったのですが(笑)、仲間が増えている途中というのもあって、元々全シリーズの1話を観る前から漠然と「次はプリキュア5かな」と思っていたこと(これが先に述べた2つの大きな理由)が後押しした結果となりました。

 で、そんな訳で観始めた「Yes!プリキュア5」も順調に消化して視聴完了となりましたので、ここに所感を綴っておこうと思います。

 第一印象は「凄くセーラームーンみたい!」というのと「流石に少し古さを感じる」というものでしたが、観終わってみると「なかなかに痛快で面白かった!」と言える作品だと思いました。ただ、「スマイル」「ハートキャッチ」と比べると、色々と物足りなさを感じてしまう面もありました。でも、それがいちいちマイナス要素だと感じることもなく、これが「プリキュア5の痛快さを生んでいる」と思えば、結構”些細なこと”として片付けられる程度のことだったので、そういう意味では普通に最後まで楽しめたのは間違いないと思います。それが、最終回でのぞみが語った「夢」に繋がったことで、急に目頭が熱くなってしまった要因だと思います。

 物語としては、主人公である夢原のぞみが、妖精(というより、別世界「パルミエ王国」の住人)のココと出逢うことで始まり、そのココが住む「パルミエ王国」の復活を実現するために、ドリームコレットに「ピンキー」と呼ばれる妖精(55匹)を集めることが目的で話が進み、「何でも1つ願いが叶う」というドリームコレットを狙っている敵組織(パルミエ王国を滅ぼした張本人)「ナイトメア」から、ココやドリームコレットを守るために伝説の戦士「プリキュア」となって戦い続ける日常を描いたものとなっていて、大きく「スマイル」や「ハートキャッチ」と異なっていると感じる箇所はありませんでした。なので、すんなりと「プリキュア」として観ている自分が居ました(笑)。

 それでも、違いとして挙げれば色々あって、「仲間が全員同じ学校だけれど学年がばらけている(主人公は2年、仲間は同級生1名、下級生1名、上級生2名という構成)」「妖精(というか、パルミエ王国の生き残り)2名が、人間の青年姿に変身して日常を送っている(しかも1名はのぞみの学校の先生として)」「変身に妖精の力は必要無い(スマイルと一緒)」「敵が会社組織の様な縦社会」「登場人物がとても絞られている(学校が舞台になることも多いのにクラスメイトは殆ど描かれず、名前があってレギュラー的に登場するのは新聞部長、学食のおばちゃんのみ。各主人公の周りも家族描写も少なめ)」「主人公とパルミエ王国のココとの恋模様がちょっとある」「街並みがかなり欧風」「場面を彩る挿入歌は使用されず」など、これだけ違えばやはり別モノですね(笑)。

 今回、パルミエ王国のメンバーのうち、ココとナッツが小動物姿と青年姿を代わる代わる使うものの、基本的には”導き手”でありつつ”守られる存在”という2つの立場を持っていたのが一番物語進行上大きく違うと感じたところで、普段おっちょこちょいでドジなのぞみの強さをより克明に描くためにとても効果的に使われていた様に思えました。そして、そののぞみに惹かれて集まった仲間4名の心の描き方もかなり丁寧で、その流れは正に「美少女戦士セーラームーン」を彷彿させるもの(特に「劇場版R」)がありました。
 5名のそれぞれの交流、喧嘩やすれ違いを描いて到達した絆の強さは、49本を重ねた価値のあるものでした。のぞみとココの惹かれ合う関係性、こまちとナッツの惹かれ合う関係性、のぞみとりんの親友関係、うららがのぞみを慕う理由、こまちとかれんの親友関係、りんとかれんの対抗心、かれんとミルクの信頼関係、夢を追ううららとこまちに対するりんとかれんの対比…といった日常の積み重ね方もバランス良く描けていたと思います(5人の結束という意味では「スマイル」を超えた感覚があったかも。それぞれの魅力も高いレベルで描けていたと思います)。
 「プリキュア」恒例と言っても良い、23話での大ピンチ、24話で新たな力を得る部分もなかなか盛り上がり、ちょっとしたすれ違いから仲間同士の絆に亀裂が入り、その結果心の闇に囚われる(自分に負ける)仲間4人に対し、最後まで決して諦めずに仲間に手を差し伸べ続けたのぞみの強い心は、観ている私が「スーパー戦隊」シリーズを観ている気分になれたくらいに熱いものがありました(笑)。
 ちょっとした部分で気になったと言えば、途中から現れたパルミエ王国のココとナッツのお世話係であるミルクの存在。素直になれないその言動は何かとトラブルの種になりやすく、その役割を持たせ過ぎたかな?と思わなくもありませんでした(「セーラームーン」で言うところの最初の頃のうさぎとちびうさの関係に似てる)。もう少し、愛らしく描いてあげることも出来たのではないかなぁ…と思うと、ちょっと可哀想にもなりました。その分、かれんと良い関係が描けていたので救いではありましたが。
 別の視点では、敵組織側が結局何だったのか、最後まで良く分からなかったのも気持ち悪い点でした。組織色があって上司と部下で仲が悪かったりするのは特に問題ないのですが、その組織が何のための組織であり、殆ど姿を現さないトップの「デスパライア」の目的や、徹底的に忠誠を誓うカワリーノの真意、やり手の部署としての幹部だったハデーニャとブラッディの活躍のさせ方、最後まで中間管理職の何物でもないまま終わってしまったブンビーや、頑張っていたギリンマとアラクネアに比べ、何だか敵としても全然魅力を感じなかった終始やる気の無いガマオなど、そういった組織で最も恐かったのがコワイナーの声(最初の頃「コワイナ~」と幽霊の様に声を出す敵自体に「恐っ」と思ったくらいです(笑))というのも何だか。

 ラストでデスパライアと対話で解決の道へ行ったのぞみ(これには驚きました(笑))と、それに呼応するかの様に皆がデスパライアに手を差し伸べる結果となり、それでこれまでの行いを悔いる(?様に見えた)デスパライアの存在も「そんな理由でパルミエ王国は滅ぼされたのか」と思ってしまうほど。ナイトメアという組織で、常に一般社員の様に無言で座席に着いていた面子が実は絶望しきって心を失くしたパルミエ王国民だったというのも、余計に「ナイトメアという組織って?」と結果的に思ってしまう要素でしたね。のぞみ達の絆の描き方が丁寧に感じただけに、余計に敵組織側が何も描けていないことが浮き彫りになった感じです。

 結局、最終局面で敵にドリームコレットを奪われ、1度しか使えない願いすら使われてしまって絶望的な状況の中、のぞみの言葉やココの呼び掛けでパルミエ王国民に希望が戻り、「ドリームコレットが無くても、みんなが居れば王国は再建出来る!」という結論に辿り着いたのは嫌いではないのですが、ラストバトルを終えて自分達の世界に戻って来たのぞみとの別れが待っているココやナッツ、ミルク達のその後のやり取りがとても淡白だったのは気になります。エピソードとして、それまで「別れの時が近づいて来ている」ということを意識させるものを積んで来ていたのに、「え、それで終わり?」というラストシーンはちょっと勿体無いな…と。まぁ、結局もう一年延長して「GoGo!」に繋がる余裕があるからなのかもしれませんが、「ナイトメア編」として一区切りするのであれば、ちゃんとした幕引きをして欲しかったです。それでも、ラストで全員が絶望を跳ね除けて希望に変えたところ(りんやかれんの夢が語られ始める場面)を受け、最後の最後にのぞみが語った自分の”夢”。これは、49本の物語を積んでココとの思い出を沢山作って来たからこそ響くものであり、実はこれまで「プリキュア5」を観ていてグッと来るエピソードは殆ど無かったのに(うららの歌手デビューの話は良かった!(笑))、最後の最後でのぞみの夢を聞き、油断していたこともあって「ブワッ」と来るものがありました。あれは少々卑怯だと思います(笑)。それでも、ラストへ向けての盛り上がり、という点を考えると今ひとつ盛り上がり切れなかった感覚は残りましたね。

 ストーリーと関係無いところで言えば、戦闘がとても規模が大きくてスピーディなものが多く、特別訓練を受けたメンバーでないにも関わらず、それぞれが戦闘のプロの様な身のこなしで数々の戦闘を重ねていたのは驚きでした(笑)。必殺技のバリエーションがとても少なく、「ここぞ!」という時にしか使わなかった5人の合体技「プリキュアファイブエクスプロージョン」の登場回数も限られていたので、「プリキュア5」の戦闘の魅力は肉弾戦にあるのだな、と。これは最近のプリキュアには無い傾向なので、これはこれで新鮮に映りました。

 新鮮と言えば、BGM。今回、プリキュア音楽の開祖である佐藤直紀氏の楽曲に触れた訳ですが、なるほど。これは高梨氏の楽曲とは違った良さがありますね! 特に直球勝負の楽曲群は戦隊シリーズのBGMを聴いているみたいでした(高梨氏が中川幸太郎氏で、佐藤氏が佐橋俊彦氏の様な感じ?(笑))。個人的に一番「おぉ」と思ったのは、テレビ朝日のバラエティ番組「シルシルミシル」でしょっちゅう流れているBGMが「りんのテーマ」や「うららのテーマ」だと初めて分かったことです(爆)。ここ最近、プリキュア関連楽曲を沢山聴いているため、こういった副次的効果が生まれています。それだけ、耳に馴染んで覚えやすい名曲に溢れているというとですよね。
 主題歌系のアレンジは良くあるものの、今回の「プリキュア5」はエンディング曲「キラキラしちゃってMy True Love!」の名アレンジが多くあって、原曲を考えると凄いことだなぁと感動。それらの曲が彩った場面は本当に名シーンが多くあったと思います。

 名シーンを彩ると言えば、演じる役者の皆さんもとても素晴らしかったと思います。特に普段は少年役が多い、三瓶さんや竹内さんが主演を務めており、そのピッタリな演技には驚かされっぱなしでした。伊瀬さんや永野さんもしっかりハマッていましたし、とても久し振りに演技自体を聴いた前田愛さんも、その演技には驚かされっぱなしでした。これまで観た「プリキュア」もそうでしたが、本当に1年間をやり切れるチーム編成なんだな、と「テイルズ オブ」のキャスト編成にも似たその顔ぶれに、グッと来るものがありました。
 携わるスタッフもシリーズを2本+放送中1本を観ているだけあって、随分と知った名前を見る様になり(っていうか、昔から携わっている人は、結構変わらずに携わり続けています)、例えば脚本や演出などは観終った後に担当者を見て「あぁ、なるほど」と思うことも多々ありました。本数を重ねることで、そういう楽しみ方が出来る様になって来たかもしれません。

 もう一つ、作画に関しては結構綱渡り感があったのが、「スマイル」「ハートキャッチ」とは異なるところでしたね(汗)。かなり駄目だと感じたのは1本(9話)だけで、危ういシーンが散見された回は数本ありましたが(散見されても、とても良い作画と混じった回もあったりすする)、最終的には何とかなっていた(そこまで駄目の烙印を押さずに気にせず観られた)と思います。その一方で、変身する時のフィルムは普通バンクだと思うのですが、変身前の衣装や髪型によってそのバンクの冒頭部分がいつも新規の動画を含んだ作画になっていて、その本数の多さは逆に驚きました(それだけ拘っている/作業を簡略化することを優先していないということ)。他のシリーズでもそういう回はあったと思いますが、「プリキュア5」では「また変わってる!」と印象に残るくらいの回数だったので、そこは特筆しておきたいと思います。

 そんな感じで一通りテレビシリーズを堪能した後は、余韻に浸る意味合いも含めて劇場版「鏡の国のミラクル大冒険!」も鑑賞。

 映画で初めて「ミラクルライト」を使用した映画だったらしく、最初の説明部分のフィルムが結構長く、その分本編がちょっと短い?と感じましたが、テレビシリーズの延長として楽しむことが出来ました。映画ならではのスケール感というものはあまり感じなかったものの、テレビシリーズに埋め込まれても不思議で無い「自分の分身である負(ふ)のプリキュア」とそれぞれが闘うという、「スマイル」にも「ハートキャッチ」にもあった展開が「プリキュア5」では映画に用意されていたのが、「おぉ」と思わせてくれました。
 自分に打ち勝ってクリスタルを破ったルージュ、レモネード、ミント、アクアに対し、友達になろうと全てを受け止め、ダークドリームと一緒に出て来たドリーム。そして、そんなドリームのピンチに自らを楯にして消えたダークドリームが初めて見せた心からの涙。その涙に応える様に、決意するドリームの眼差し。そして「スーパープリキュア」で、泣く子も黙る「ファイブエクスプロージョン」!(笑)。終盤はお約束ながらも熱い展開(王道な展開と言えるもの)が用意されていて、そこはしっかり楽しめました。
 また、そのダークのメンバーが、西村ちなみさん、長沢美樹さん、釘宮理恵さん、皆口裕子さん、木内レイコさんなど、今のプリキュアに繋がる面々も居たりして興味深く観ることが出来ました。
 逆に、ゲストのメインキャラとしてミギリンとヒダリンという鏡の国の兄弟をザ・タッチが演じていて、それが正直なところ「う~ん…」という感じだったので、その点はちょっとマイナスでした。話としても全体的にこじんまりしており、先に述べた通り「映画」というよりは「テレビシリーズの延長」という感じだったことからも、満足度よりは物足りなさが残りましたね(映画の終わり方も余韻を楽しめる感じでなかったのもマイナスでした)。それでも一応、映画ならではの「スーパープリキュア」と熱い展開が観られたということで良しとします(笑)。

 ということで、「Yes!プリキュア5」視聴完了で雑多に感想を書き殴って来ましたが、取り敢えず3作品目を観終えてホッとしています。これなら年内に後2~3作くらいは行けるんじゃないか…って(笑)。
 次の作品は別作品に飛んでしまおうかと思ったのですが、映画を観て少々物足りなさを感じてしまったことと、結局物語が続いているということを考えると、そのまま継続してココとのぞみの夢の続きをこの目で確かめたいかな、と思います。

[2013.08.19追記]

 観終わって間もなく、「Yes!プリキュア5」のBD-BOX化がアナウンス! 先見の明があった訳ではないものの、あまりにタイムリーだったので驚きました(笑)。でも、前後編の2BOXで、定価ベースだと8万円(!)。これは余程好きでなければ買えない金額ですよね…。

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