「フレッシュプリキュア!」全50話視聴完了
先日「Yes!プリキュア5 GoGo!」を観終えてから、友人から薦められた他作品の視聴を挟み、「プリキュア」シリーズ視聴としては少し休憩を挟んで(笑)次のシリーズの視聴を開始しました。
選択したのは「フレッシュプリキュア!」。実は「プリキュア」シリーズについて色々漁っていた最中、もっとも(見た目主体の)第一印象が悪かったのがこの「フレッシュ」で、歴代主題歌の中でも一番パッとしない感じ、キャラクターデザインも「ん?」という印象だったこともあって、視聴への腰が重くなりそうな予感もしていました。しかしながら、「敵幹部がプリキュアになる」という情報(勿論、詳細は知らない)がそれらを一蹴する力となり、興味が強くなって次のターゲットに決めました。
シリーズ視聴開始前に既に3話まで観ていたものの、正確な印象を持つため第一話から視聴開始。音楽が佐藤直紀氏から高梨康治氏に変わったり、キャラクターデザインが「美少女戦士セーラームーン」も担当していた香川久氏になって頭身が上がったり、プロデューサーが鷲尾天氏から梅澤淳稔氏に変わったなど、様々なリニューアルが行われた1作ということもあって、自分が観て来た流れ(スマイル→ドキドキ→ハートキャッチ→プリキュア5→5GOGO)でも、印象こそ「プリキュア」でありながらも、様々なさじ加減に違いを感じるくらいでした。
先ず、プリキュアになるまでの流れ、変身シーン、戦闘や必殺技などのシリーズ的に絶対避けられない要素に関して、プリキュアなる流れはこれまで同様すんなり受け入れられたものの、変身や必殺技という作品を盛り上げるのに大きなウェイトを占める要素に「ん?」という微妙さを感じる始末(汗)。変身はバンクの使い勝手は良さそうなものの、あまりカッコ良くない(変身アイテムをかざしたりせず、携帯電話を鍵で開けてトラックボールを回すと髪飾り等が解けて体は光を放ち…変身空間にダイブすると衣装が身に纏われる…って、文章で説明しようとすると結構カッコ良さそうに思えるかもしれませんが(笑))。必殺技は動きが地味で今一つ盛り上がりきれない…。そんな私にとってマイナス要因になる大きいハンデを持ってしても惹き付けた要素が、敵組織「ラビリンス」の幹部である「イース」の存在。初戦でプリキュアに作戦を邪魔されてから、その正体を知って変身前の人物(桃園ラブ)に”東せつな”を名乗って近づき、変身アイテムを奪おうと作戦を重ねて行くも、その中で桃園ラブの優しさや考え方などに触れて揺れ動く心の描き方と、最終的にラブの前でイースである正体を明かして最終対決をする流れへの持って行き方はとても上手く、それをプリキュア恒例の22話から24話の中盤の盛り上がり(新たな力を得る)に綺麗に持って来たのが本当に素晴らしかったです。これまで私がみた「プリキュア」のシリーズにおいて、中盤までの運びが最も上手かったのではないか、そう思えるくらいです(唐突さが全く無いので)。
ちなみに、その中盤に行くまでの流れで、プリキュアとなったラブちゃん、美希たん、ブッキーの親友三人の関係性や個性の描き方や、新たな力を得るまでの過程の描き方も上手く、かなりへちょいと思った必殺技も序盤でキュアスティックが登場していきなりカッコ良くなり(笑)、キュアピーチ、キュアパイン、キュアベリーがスティックを生み出して技を発動するエピソードが別に描かれたことで物語の起伏として飽きさせない様にもなっていたので、1クールを終える頃には変身シーン以外は全ての要素(キャラクター、物語運び、演出群など)に文句は無くなっていました(寧ろちょっとしたギャグ要素が新鮮で、「セーラームーン」を彷彿させる感じがかなり好みに変わって来ていました)。そういえば、変身時の掛け声「チェインジ、プリキュア!ビートアップ!」の「チェインジ」という言葉を耳にしたのは「人造人間キカイダー」以来かも?(笑)
流れを楽しめた要因として、ラブが1話で助けた人気ダンスユニット「トリニティ」のリーダーであるミユキが、トリニティに憧れているダンス好きのラブのコーチになり、美希や祈里も合流してユニットを結成し、ダンス大会の優勝を目指すというもう一つの主軸とも言えるエピソードもプリキュアになってラビリンスと戦う一方で着実に積んで行き、その流れの中で「ダンスとプリキュアの両立」「四人目のプリキュアの存在が示唆される中で、それがミユキではないか?という展開(フェイク)」「強敵が現れて四人目を早く見つけたい一心でのミユキへ相談(プリキュア加入依頼)から理解者へ」という、無駄のない役割配置と物語進行も、「フレッシュ」を支える土台がしっかりしていたからなのだろうと思います。
これまで私が観て来た「プリキュア」は、小さなエピソードを重ねて進行し、全50話の物語として大きな話を動かす為の前準備的な話が数話あるという構成が多く、小さなエピソードで強く印象に残るものというのが然程多くは無かったのですが、今回の「フレッシュ」はこれまで観た中ではかなりのエピソードが強く印象に残るものになっていました。敵側の作戦も「ちょっと恐いな」と思うものもあり(戦闘終了後、破損した建物が修復されないというのも結構痛々しかったですし、サウラーの作戦は本質的な恐さがありました。「子供が好きなものを世界から消してしまう」という作戦では”お母さん”という存在を消してしまう、時計を止めて「明日」が来ない様にしてしまう等)、絆や希望といったことに対して向き合う瞬間も多くあったと感じています。
舞台となるクローバータウンの温かさとその成り立ちもそうですが、登場人物を絞ってそれぞれにしっかり印象付けが行われているのも、最終的に胸に響くエピソードの下地としてしっかり意味を持っていました。「家族」「友情」「絆」「感謝」「諦めない心」など、真摯に真っ直ぐに描いた物語は「プリキュア」の本質からはブレないながらも、他プリキュアとは違う作品テンションの高さで50話を駆け抜けた様に思います。
やはり「フレッシュ」を語る上で欠かせないのはラビリンスの幹部「イース」から転生した「キュアパッション」の存在。「ラビリンス」という組織が「総統メビウスの為に!」という行動理念は最初から描かれていながら、「不幸のゲージを満タンにしてインフィニティを手に入れる」という目的以外のことは分からない状況で、イースが最後の戦いに赴いた時に「ラビリンスに所属している者の寿命までも管理されている(書き換え自由)」という残酷な事実が突きつけられた衝撃。キュアピーチとイースの1対1の対決でイースが気付いた大切なもの。しかしプリキュアに破れた瞬間に書き換えられたイースの寿命…。そんなイースに起きる妖精アカルンが起こした奇跡!この辺りは何度も観たくなる、とても印象の強い名シーンだと思います。「キュアパッション」として転生したせつなが、「幸せ」を司るプリキュアになっている意味や、それまでの自分の行いが招いた事実を目の当たりにしながらも、逃げずに向き合ってせつなとして生きる覚悟には、胸が熱くなりました。
もう1つは、最終戦闘に行く前に正体を打ち明けるくだりのラブたちとその家族のお話。「プリキュア」という存在が世間一般に認識されている世界観の中で、自分の娘が「プリキュア」という存在で、無事に戻って来れる保証が無いところへ向かおうとするその瞬間の親と子の心情の描き方です。ここまでのエピソードが活きる演出は、「フレッシュ」屈指の名場面だと思います。
その他にも、ラブの名前の由来に関係するお祖父さんの話、ラブのお母さんの話、せつながラブの家に住む様になってから本当の”家族”に至る流れ、新たに加わったせつなが、美希や祈里との心の距離を縮める流れ…と挙げれば全部挙げてしまいそうなくらいにグッと来たエピソードは多くあります。ドーナツ屋のオヤジとしてのカオルちゃんの別の顔や、お笑い芸人であるオードリーが本人役で登場するアクセントも上手く本編を彩るものとして機能していたと思いますし、季節エピソードも効果的に使用し(特にクリスマスの話をラストバトル直前に持って来た意味は大きかった)、印象付けに一役買っていたと思います(舞台として学校は出て来るものの、ラブの学校以外は殆ど描かれず、クラスメートのエピソードは基本的に腐れ縁の大輔とその友達である裕喜と健人のみだったものの、それぞれラブ、美希、祈里と関わらせているために、ちゃんとした存在感はあった)。
新アイテムや新技の投入タイミングも絶妙だった様に思います。前述したキュアスティック(ピーチはロッド、ベリーはソード、パインはフルート)の別々の登場、キュアパッションが加わった事により登場したハープ(ハピネスハリケーン)、クローバーボックスの入手、その力が解放されて使用する「ラッキークローバー・グランドフィナーレ」など要所要所でメリハリの効いた演出で観ている方のテンションを上げ続けてくれたと思います。最初の頃の必殺技の淡白さは一体なんだったのだろう?(笑)と思うくらい、「グランドフィナーレ」はカッコ良く映りました。
敵組織がどんな目的で何をしようとしているのかは割と最初の頃から明かされていて、「プリキュア5」の様にキーアイテムを奪いに来るのが目的で無く、「スマイル」の様にとにかく人を襲えば何かしらのゲージが溜まる(怪物の名前も「ナキワメーケ」「ソレワターセ」等。1回だけ勘違い作戦で全く不幸のゲージが溜まらない回があったりして、その展開は新鮮にも感じた(笑))ので、成果の大小は別としても回を追うごとに着々と進行して敵側が最初の目的を達成し、次の段階にシフトする様になった時、シフォンを巡る展開に変化。敵組織も最高幹部が出て来て戦いは激化。それでも、初期の頃から出ているサウラーやウエスターは何処か憎めない存在としてずっと居て、そう感じている理由がラストに結び付く流れも個人的に好み(「ハートキャッチ」の幹部も似たところはあるものの、普通の人として登場する分、どこか身近に感じる)。敵幹部としてその他にノーザやクラインも登場しますが、その印象は然程残らなかったものの、今回は敵組織について「説明不足」と感じることも無く、単純な善悪の位置付けでは語れないものであったことが作品の奥行きを出していた様にも思います。結局、ラストまで観た中で滅びなかったキャラクター達にはそれぞれ魅力を感じるに至れたことが作品そのものを「好き!」と思える力になっているのだな、と思いました。
ちょっとした恋愛要素や「ドラゴンボールZ」ばりの最終戦闘(笑)なども作品に程よいスパイスとなっていましたし、「ラビリンス」に乗り込んでからの展開は、「ラビリンス」という世界の状況、総統メビウスの正体と目的、敵幹部の実態、ウエスターとサウラーの最期、ドーナツがもたらした個への目覚め、プリキュアのピンチに駆け付けた人物、みんなの想いが形となったホワイトハートを用いてパワーアップするキュアエンジェル、そして全ての想いを乗せて放つ「プリキュア・ラヴィングトゥルーハート・フレッシュ」!…、書いているうちに胸が熱くなって来るくらいです(笑)。展開に新鮮味があったとは決して言えないものの、「フレッシュ」が創った「プリキュア」の新しい風は、今にもしっかり生き続けていることが良く分かりました。
決戦を終えて危機が去った後の展開も作品を印象付ける大きな要因となっています。終盤は重い話ながらも、ずっとその中にあってちゃんと進行していたラブたちのダンス大会への参加。全てを終えて臨んだ決勝戦の行方(披露されたのはCGダンスをベースに作画された映像で、これがまた良かった!)、せつなの取った行動、ラブの恋愛の行方(?笑)、第一話からラブが言い続けて来た「幸せ、ゲットだよ!」の言葉が締め括る物語を全て受け留めるエンディングテーマ「H@ppy Together!!!」。そんな隙の無い演出群には、第一印象での悪いイメージは何も残っていませんでした(既に変身は…カッコ良いとは思わないまでも(笑)、結構好きになれていましたし、ラブちゃん可愛いし、主題歌「Let's フレッシュプリキュア!」はノリノリだし、エンディング「H@ppy Together!!!」は目頭熱くなるし…現時点で自分の中の1、2を争う「プリキュア」です)。でも、ラストの演出に「H@ppy Together!!!」を使うならば、そのままエンディングに入ってしまった方が綺麗だったのではないか?と思うのは私だけでしょうか…?(汗)
その他では、サブタイトルの背景が毎回違っていたり、DVDの映像特典に収録されていたので分かりましたが、毎週エンドカードが凝っていて、こういうのも嬉しい拘りでしたね。
キャラクターデザインは初めて見た時に頭身が高いのは問題なかった(というより寧ろ好み)だったのですが、目の感じがちょっと好みでは無かったのに本編中では気にならなくなったことを考えれば、慣れの問題なのかもしれませんね(「アキハバラ電脳組」ですら慣れた訳ですから(笑))。寧ろ、ラブちゃんはとても良いキャラクターで、本質的な部分は「セーラームーン」の月野うさぎ的だった様に思います。名前の「ラブ」というのも最初は「え?」と思っていたのですが、お祖父さんの思い出の回で名付けた想いに触れてからは好きになれました。
音楽も高梨康治氏に代わったものの、私にとっては初めに馴染みになった音楽の方なので、寧ろ「来た!」と感じる楽曲も多かったです。サントラを聴いて改めて思いましたが、「フレッシュ」は印象に残る楽曲が「スマイル」並かそれ以上多く感じました。恐らく初めて「プリキュア」を担当したことで気合が入っていたのかもしれないことと、物語の展開が熱かったというのもあって、特に必殺技関連はノリノリのビートで聴かせてくれました(「プリキュア・ビートアップ!」「新たなパワー、キュアスティック!(悪いの悪いの飛んでいけ!)」「プリキュア・ハピネスハリケーン!(吹き荒れろ、幸せの嵐!)」「ラッキークローバー・グランドフィナーレ!」は、絶大な作品貢献を果たしたと言えると思います(ギター冴えまくり!)。その他にも、決意、緊迫、戦闘といった楽曲だけでなく、日常曲にも印象的なものが多く、総じてとても完成度の高いサウンドトラックだと思いました。
TVシリーズのエンディングを観た後、色々あって間を開けてしまったものの、ようやく劇場版「おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」を鑑賞。
街中からおもちゃが消える事件が発生。子供達の悲しむ姿を目の当たりにしたラブたちは必ず取り戻すことを約束し、いざおもちゃの国へ!ということで始まった冒険は、「子供は飽きるとおもちゃを捨ててしまう」「捨てられたおもちゃの悲しみがおもちゃの国を作った」という、これまた本質的に色々と考えさせられるエピソード。ラブも大切にしていたうさぎのぬいぐるみ(ウサピョン)を大切していながら、押入れの奥にしまったままにしていた後ろめたさも抱えつつ、おもちゃたちの傷ついた心に触れて悲しむも、子供達の想いとおもちゃたちの想いの橋渡しとして、真っ直ぐに気持ちを届けるという、とても「フレッシュ」ならではの愛に溢れたエピソードでした(茶目っ気も活きてましたし、ラブが弱さを見せた時に仲間が奮い立たせる演出も良かった)。
驚いたのは、TV本編に先駆けてキュアエンジェル(ホワイトハート)が登場していたこと。「みんなの想いの力がプリキュアに奇跡の力をもたらす」という流れは、映画としては「ミラクルライト」を使う演出があるので”お約束”とも言えますが、「フレッシュ」ではTVシリーズもその流れとなったことをどう捉えるかは人によって賛否ありそうですが、「みんなで幸せゲットだよ!」というのが主軸にある「フレッシュ」では、それで良かった様に思います。ラストのウサピョンを繕ったラブの気持ちも素敵でした。
映画ならではのスケール感がありましたし、バンク類はTV版をベースに豪華な色彩・発色になっているように感じ、それに合わせて劇伴も一層豪華になり、それはテーマソングにも言えていて、映像演出的にはせつなの出番も多くあって、より「みんな一緒に」という印象になったのも嬉しかったです。
これまでTVシリーズを観終えて劇場版を観ると、ちょっと消化不良で終わっていたので、今回は文句なしに楽しむことが出来ました。
そんなこんなで、今回も所感を書き殴ってみましたが、観る前とは全く異なり「フレッシュプリキュア!」という作品がとても楽しめただけでなく、とても好きになりました。想像している以上に様々な要素が高次元で調和した、プリキュア史上で確かにその名を刻んだ作品になったと思います。Blu-rayが出るなら欲しい!
残る「プリキュア」は4作。もう折り返しましたから、ある意味ゴールは見えましたね(笑)。一応、「ドキドキ!プリキュア」の放映が終わる頃には残りを観終えられれば…と思っています。現段階で次は「ふたりはプリキュア」を観るつもりです。
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