日本BGMフィルハーモニー管弦楽団 旗揚げ公演
これまでゲームミュージックをオーケストラが演奏する、という機会はそれなりにあって、その多くは国民的ゲームとして名を連ねる「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」をタイトルに掲げるコンサートが代表的なものだと思います。それら”有名なゲーム”は、一般に馴染みのあるソフトであるものの、私自身は特別思い入れも無く、もっと他に「オーケストラで聴きたい!」というソフトがあっても、ネームバリュー(=集客力)ということを考えると実現は難しいだろうな…と、有名ゲームのオーケストラ公演を目にする度に、そんな寂しさを覚えて幾年。その中で、目に留まった1つの耳慣れぬ管弦楽団、それが”日本BGMフィルハーモニー管弦楽団”です。
「ゲームミュージックを演奏するプロの管弦楽団」という、今までの様なアマチュア規模や、有名ゲームのオーケストラコンサートという括りではなく、「ゲームミュージック」であればどんな作品にもスポットが当たる。そう思うとワクワクが止まりません。そんな管弦楽団の旗揚げ公演が行われ、その演奏プログラムに「グランディアのテーマ」「組曲ファザナドゥ」「交響組曲アクトレイザー」など、私個人としても垂涎の曲目が目に留まり、平日開催とは言え何としても駆けつけなければ!ということで、チケット手配。何とか、当日無事に参加することが出来ました。
会場となる「かつしかシンフォニーヒルズ」は初めて足を運ぶ会場で、青砥自体は友人宅があることもあって馴染みのある駅ではあるのですが、コンサートのために訪れるというのは結構新鮮でした(笑)。
会場に到着して入場すると思っていたよりも大きく立派なホールで、「モーツァルトホール」という名に恥じない目の前に広がる光景にテンションアップ! プロのオーケストラコンサートというものに足を運ぶのも結構久し振りなこともあって(恐らく、10年以上前に参加した”第九”のコンサートが最後ではないかと)、気持ちが高揚しています。
座席が3列目(実質2列目)ということもあり、目の前に見えるのは弦楽器と指揮者くらいで、オーケストラ全景が見えないのが残念ではあったものの、学生時代ブラスバンドに参加していたこともあって、弦楽器の演奏を間近で観られるのは新鮮味があって、前に出て来るソリストや指揮者の細かな指示に注目することも可能な席という、今の私にとっては良い席だったかなと感じました(それでも、自分が担当していたのが金管楽器だったので、それらのパートが全く視界に入らないのも寂しいのは間違いなく)。
今回の公演プログラムは、元々楽しみにしていた「グランディアのテーマ」「交響組曲アクトレイザー」以外は、全く耳にしたことも無い楽曲・少し知っている楽曲というもので、それらの楽曲は受身で聴いていた部分も多く、本来の「オーケストラ演奏のゲームミュージックを全身で味わう」というものからは少し外れたものになったのは致し方ないものの、逆に楽しみにしていた楽曲群は「オーケストラによる生演奏」を全身で感じ、奏者の熱い気持ちを受け留められて大きな収穫となりました。その他では「スクウェア・エニックス関連ソフトの楽曲はメロディやフレーズが親しみやすく印象的で、オーケストラとの親和性も高い」ということを改めて感じることとなりました(原曲がオーケストラを意識したものになっているからなのでしょうけれど)。
安定の「ドラゴンクエスト」序曲で開幕し、第一部は「グランディアのテーマ」でスタート…なのですが、私はこれで第一部が終わってしまった感じで(汗)、後は普通に楽しんだものの気持ち的に乗りきれずに受身でいた感覚が残ってしまったのは少々残念でした。しかし、休憩10分を挟んだ第二部は全く異なり(奏者の方がバラバラと入場している中で配置に付いたらメロディを奏で始めて、気が付けば1つの楽曲が完成して行くといった演出がとても印象的であり、奏者の方も第一部と配置が変わり、役割にも変化が)、非常にオーケストラが活きる楽曲群であったこともあってか、知らない曲でも気持ちが乗って来る、そんなパワフルなステージを味わうことが出来ました。特に圧巻だったのは、合唱団も入場しての交響組曲「アクトレイザー」。ゲーム発売当時、交響曲アレンジがされたアルバムは聴いてもピンと来なかったのに、今回それをベースに2013年版として蘇ったものはとても印象が良く、構成の良さも感じることとなりました。これが生演奏の力なのでしょうか?(笑) 第一部よりも緊張がほぐれたのか、とてもノリノリな演奏だったこともプラス要因でした。第二部はその他にも業界の1つの事件となった「アクトレイザー」とその影響を受けた「ファイナルファンタジーIV」の競演、というのも実に感慨深いものがありました。
拍手を入れるタイミング等は観客側にも不慣れな感じはありましたが(まぁ、オーケストラアレンジされた楽曲だとどこが演奏の完了なのが分かり辛く、特に組曲においては楽章毎に1回終わるので余計に難しい)、そこまで堅苦しいコンサートではないと思うので各々が楽曲や演奏を楽しめれば良いと思いますし、アンコールでの手拍子や最後の演奏を終えてやり切った清々しい笑顔を浮かべた団員の皆様を見る限り、旗揚げとしては大成功と言えるものになったのではないでしょうか。2時間ちょっとの公演時間は、あっと言う間に感じましたし、とても楽しい時間でした。
ゲストとしても、岩垂徳行氏や古代祐三氏、伊藤賢治氏らがいらしてコメントや想いを述べられていて、久し振りに見る方も多くて嬉しかったです。岩垂さんは開演前に物販コーナーで売り子をしていたり、そのサービス精神旺盛振りは以前から何も変わっていなかったのが嬉しかったです(もう少し時間的余裕があれば、久し振りにご挨拶したかったです)。
今回、コンサートミストレスを担った尾池亜美さん(情熱的な演奏で笑顔も素敵でした)、小林明日香さん(少し緊張していた感はありましたが、古代節を力強く表現してくれました)をはじめ、男性のハープ奏者である小林秀史さん(とても繊細で表情豊かな演奏を聴かせてくれました)は特に印象に残りました。その他では槌田委世さんに視線釘付けでした(笑)。全体的に楽団の皆さんが若くて、自分の中の「管弦楽団」の印象からするととても新鮮に映ったのも印象に残りました。
「日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」という名前に込められた思いに触れ、今回の成功を受けて今後も楽しみな楽団。長く活動を続けて行く中で、どの様な楽曲が演目に選ばれて楽しませてくれるのか。数々の名曲たちを新たなステージで語り継ぐために、より多くの楽曲を表舞台に引き上げて奏で続けて欲しいと思います。ゲーム音楽は「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」だけではありませんから…(強く強く「ガイアポリス」を聴きたくなった私(笑))。
【日本BGMフィルハーモニー管弦楽団公式サイト】
http://jbp.or.jp/
■プログラム
- 序曲/「ドラゴンクエストI」より
【第一部】 - グランディアのテーマ/「グランディア」より
- The World Adventure/「ソニックワールドアドベンチャー」より
- メインテーマ「Wonder World」/「ソニックロストワールド」より
- パズル&ドラゴンズメドレー/「パズル&ドラゴンズ」より
- 華龍進軍/「三國志V」より
- 組曲「ファザナドゥ」/「ファザナドゥ」より
【第二部】 - 赤い翼~バロン王国~愛のテーマ~オープニング/「ファイナルファンタジーIV」より
- 風の憧憬~クロノ・トリガー/「クロノ・トリガー」より
- 交響組曲「アクトレイザー2013」よりAct1,2,3,6/「アクトレイザー」より
【アンコール】 - 子午線の祀り/「聖剣伝説2」より
- Smiles and Tears/「MOTHER2」より
- 序曲のマーチ/「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」より
[2013.10.14追記]
以前発売された「交響組曲アクトレイザー」を十数年振りに聴いたところ、編曲が全く変わっている部分も多く、特に「フィルモア」なんて別物でした。このCDの発売当時、この「フィルモア」のアレンジが気に食わなかったのを凄く思い出しました。CDは和田薫氏がアレンジ担当、今回の羽田二十八氏がアレンジ担当ということで、ゲームの印象をそのまま大きく膨らますアレンジをした羽田氏の方が好みだったということですね。是非2013年版で「交響組曲アクトレイザー」をCD化して欲しいです!
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