「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」鑑賞
2013年2月、「冬フェス」の会場にて発表されたアニメ「アイドルマスター」の劇場版。それから約1年、とうとう公開日を迎えました。これまでTVシリーズを楽しんだものが劇場公開されるという流れとなった作品は数多くあり、楽しみにした経験もありますが、今回の「アイドルマスター」ほど公開前からの広告宣伝や各種コラボなどが綿密に組まれた作品は少なかった様に思います(自分が観ていない作品は勿論アンテナを張っていないので、思っている以上に沢山あったりするかもしれませんが、より多くの人に楽しんでもらおうというアプローチや、皆でここまで来たことを一緒に喜び合おうという企画はあまり無かった様に思います)。
一応、私も「アイドルマスター」と関わり始めて7年になろうというプロデューサーですし、この記念すべき劇場版公開に当たって色々と楽しみたかったのですが、副業(笑)が忙しくてなかなかに時間が割けずに日が過ぎて行き、7夜連続のニコ生視聴はおろか、春香が表紙を飾ったNewType 2014年2月号すら買えずに公開日当日を迎える始末…(苦笑)。それでも公開当日は時間確保を死守し、劇場へ向かいました。
初日舞台挨拶が「プレミア舞台挨拶」と称し、765プロのオールスターキャスト12名にプラスして小鳥役の滝田さんやプロデューサー役の赤羽根さんまでいらっしゃるということで是非とも参加したいと思ったのですが、残念ながら落選となったものの、ライブビューイングの実施もあったのでそちらを確保。更に「どうせなら」ということで2回実施されるプレミア舞台挨拶を両方参加してしまおうと考え、9:50の回に加えて13:30の回も確保。
当日は物販のことも考えて1時間前くらいに劇場到着を目標に行動開始。8:30頃に到着して予約したチケットの発券を完了し、グッズ売り場へ。まだまだ数は潤沢にあり、並んでいる人も殆ど居なかった状態だったので、欲しいものは余裕で確保。お祭り気分もあったので予定していた以上の買い物をしてしまったのですが、それもそれで心を豊かにするというか何と言うか(笑)。
入場まではまだちょっと時間があるので、展示されているパネルなどを見ながらテンションを静かに上げて行きます。それでも、不思議なくらいに落ち着いていることがライブ前と大きな違いですね。9:30頃から入場が開始されましたが、座席に着いても映画館ですから周囲が静かですし、ライブと違って落ち着いたものです(笑)。
気が付けば普通に各種予告編が始まって、そのまま本編開始。何故か舞台挨拶後に本編だと思っていたので、いきなり始まって「えっ!?」という感覚のまま飲まれてしまいました(笑)。
本編は「お正月だよ!アイドルマスター」では119分と発表されたのに、直前になって121分に変更になったという、本当にギリギリまで制作し、目一杯詰め込んだ作品であることは本編を観る前から感じてはいたのですが、それは作品冒頭から強烈に感じることとなりました。そして気が付けばスタッフロール。そう、あっと言う間の121分でした。途中ダレることもなく、お尻が痛くなることもなく(笑)、全体の1/5くらいは泣いていたのではないか、と思うくらいに感情の波が押し寄せた結果も予想しておらず(でも、泣くのは予想していたので予めハンカチは手に持っていた)、観終わってこんなに満足度の高い映画はどのくらい振りなんだろう…と思うくらいに心に刻まれた作品でした。
序盤はTVシリーズが終わった後に765プロのアイドルたちが今どんな目覚ましい活躍をしているのかを描き、その流れから「次のステップへ」ということでアリーナライブが決定。そのライブに向けてリーダーに抜擢される春香。全員のスケジュールを調整して、ライブへ向けての合宿に。養成所に通うアイドル候補生(「ミリオンライブ!」)の7名をバックダンサーとして起用し、一緒の合宿の中で765プロメンバーにはそれぞれの成長振りを感じ、その765プロメンバーの一挙手一投足から何かを感じ取る候補生7名を描写、アリーナライブ本番まで準備を進めて行く中で問題発生、それに向き合う春香の姿勢と765プロメンバーの思い。候補生7名の中の焦りや不安、1つのステージを完成させるまでに訪れる障壁を、先輩として仲間として伝えようとする765プロメンバー。設営前のアリーナの舞台に立って感じるワクワクや重圧、それをも超えて楽しむ力となった仲間との絆…。そして迎えるアリーナライブ本番…! その先にある未来。未来は今の延長。だからこそ今を大切に。その時々で出逢った人達と進む未来…。輝きの向こう側へ! 本編の物語はTVシリーズ26話が凝縮されたような密度があり、「輝きの向こう側へ!」の副題がしっかり感じられるものになっていたと思います。起承転結型のストーリー、しっかりとカタルシスを感じる流れ、仕草や表情、間を上手く使った演出群、最高の楽曲群、もうど真ん中の「アイドルマスター」がそこにはありました。応援している側も含めて関わった全ての方々の”愛の結晶”とも言える今作は、これまでの積み重ねた全てで形作られたものであることが実感できるものであったと思います(今回、1回目の上映が始まってから、特別泣くようなシーンでなくても目頭が熱くなったりすることが多々あり、全体の半分くらいは目頭が熱くなっていた様に思います)。全く知識がゼロの状態の方が観たとしても伝わるものがあると感じます(そういった方は殆どいらっしゃらない様に思いますが、そこからまたTVシリーズやゲームに興味が持ってもらえるなら嬉しいですね)。
尚、ネタバレを含む内容は「続きを読む(または「ネタバレ」以降)」の中に含めておきます。
大満足の本編を観終えた後は「プレミア舞台挨拶」のスタート。私はライブビューイングでしたので、準備中はスクリーンに何かが映し出されるまで待つしかないのですが(笑)、然程待った感覚も無く司会のアニプレックス高橋祐馬氏が登壇して、キャスト14名を順番に呼び込みます。若林さん、たかはしさん、下田さん、釘宮さん、浅倉さん、長谷川さん、中村さん、今井さん、沼倉さん、仁後さん、平田さん、原さん、滝田さん、赤羽根さんの順に登場。ライブも含めて主要キャストが全員並んだのを見たことがない(赤羽根さんが含まれることは殆ど無い)ので、とても壮観。しかも、豪華で煌びやかに見えるというのが応援し始めた頃とは全く異なり、貫禄すら感じられる皆さんに、劇中の765プロのメンバーも重ねて見えてしまい、その喜びに満ちた皆さんの表情に胸がいっぱいになりました。現地である新宿バルト9で観られなかったのは残念ではありましたが、こうして皆さんの表情や発する言葉、心境などを感じることが出来たのは大きく(しかも前から3列目だったので、遮るものもなく大きくしっかり見えたのも良かった)、ライブビューイングだからこその満足感というのも少なからずあった様に感じます(自分の意思で視点は変えられないものの、色々なものがハッキリとアップで見られるのは良かったです)。
最初の舞台挨拶は上映後ということもあってネタバレを含んで様々な具体的な話が聞けました。最初の自己紹介ではちょっとした感想を添えての挨拶を14名全員で。その後は物語の流れも意識した司会の質問に答える形で関係するメンバーにトークが移り、最後は錦織監督からのレター(2枚組の大作)を赤羽根さんが朗読して胸を熱くしたり、あっと言う間の60分。舞台挨拶は本編のオマケではあるのですが、素晴らしい映画を観終えた後に携わった皆さんから色々な生の声を聴けるのは「プレミア」の名に恥じない内容の舞台挨拶だったと思います。60分という長い時間だから、ということを抜いても価値のある楽しく充実した時間でした。錦織監督のレターを読む前に、トークショウの締めとして中村さんに質問が振られたのですが、そこで一人一人の名前を呼びながらとても良い話をしていたのに、下田さんだけが呼ばれずに拗ねたり(陰になっていたから、とは中村さん談(笑))、トークしながら胸がいっぱいになるキャストの方も多くいらっしゃったのも印象的でした。平田さんも産休復帰後初の公式登壇に、温かく迎えられて「帰って来た」と緊張も解けたご様子でした。
最初の舞台挨拶が終わって、ロビーに出て来たのが13:05頃。物販も盛況で、この時点でかなりのアイテムが捌けている印象がありました。なんて気にしている時間は無く、次のライブビューイング開始が13:30なのでそれまでにトイレや食事を済ませなければなりません(汗)。昼食をどうするか考えた上、結論は「限定コンボセット」を選択。まぁ、公開記念のご祝儀ですから、ポップコーンとドリンクで1,200円という値段は気にしない!(笑) 食べきってから座席に向かうつもりだったものの、食べ終えることが出来ず、しかもトイレにも行っていない!! 単独での行動だったので、どうしようか迷った上、スクリーン入口前の小休止スペース(係員の目につく場所)に荷物類を置いてトイレにダッシュ! 取り敢えず、全て事なきを得ました(笑)。
2回目のライブビューイングは、1回目が前から3列目中央だったので、今度はスクリーンの高さが正面になる10列目中央を選択。席に着いて残りのポップコーンを食べ終えて間もなく、スクリーンに映し出される新宿バルト9の会場。
2回目は本編公開前の舞台挨拶ということで、1回目とは異なり舞台上に椅子が用意されて、その前には「絶賛上映中!」のパネルが置かれている状態。司会や登壇者は同じものの、自己紹介は感想を伴わないものに変わり、質問内容が「自分が演じた役について見所」「自分の演じた役以外についての注目ポイント」になって、赤羽根さんから一人ずつ順番にトークする流れになりました。内容もネタバレを含まない様に話すために一部話し辛そうに感じる部分もありましたが、それはそれで楽しいトークになりました(既に観終わっているので、隠していてもどの部分か分かるだけに、そういった視点でも味わえました)。一通りのトークが終わると、観客席に居た坂上プロデューサーを檀上に呼び込んで一言もらう流れに。ただ、時間が殆ど無かったので色々話そうとしていた坂上さんを司会が制し「お呼びたてしたのに申し訳ありませんが、巻きでお願いします」と言われたりする一幕もありました(笑)。面白かったのは、新宿などの駅に出された特大のパノラマ広告について「凄いですよね」という話が挙がった際、司会の高橋氏が「えぇ、今回は広告宣伝費が”予算の向こう側へ”行きましたから(笑)」と言ったことでしょうか。「何上手いこと言ってるの!」とキャストの皆さんも会場も大うけでした(笑)。
最後は錦織監督のレターを今度は若林さんが朗読。1回目とほぼ同様の内容ながらも(1枚にまとめられていたので恐らく異なる)、改めて胸に響く内容となっていました。全てが終わった後、プレス向けの撮影タイム。20社くらいは居たでしょうか。結構なカメラマンの人数にその注目度の高さを感じることとなりました。
プレスの撮影タイムが終了し、2回目のプレミアム舞台挨拶は終了。登壇した皆さんが退場し、ライブビューイングも終了。程無くして2回目の本編が上映開始となりました。
流石に2回目、内容は理解しているので1回目ほどの「あっと言う間」感はありませんでしたが、それでも全く飽きずに観ることが出来ました。終盤のステージ設営前のアリーナに行ってからラストまでは1回目以上に胸に来るものがあって、嗚咽が漏れそうなほどに泣いてしまった様な気がします(「M@STERPIECE」の歌詞が胸に沁みた)。上映が終わった後、エレベーターに乗った時に鏡に映った自分の目が赤く腫れぼったかったことに驚きました(笑)。
上映初日に2回観た映画も初めてで、それが2時間という長尺であることも凄いと思いましたが、当日9:50の回から途中30分の休憩を入れた以外は映画本編4時間、舞台挨拶2時間の合計6時間を劇場で過ごしていたことに驚きました。外に出ればもう夕方、流石に疲れる訳ですね(笑)。それでも大満足と言える今日の結果は、自分史に刻まれる1日になるのかな、なんて思えるものでした。
今回、ライブビューイング鑑賞を予約してチケット購入した関係上、前売りチケットを5枚(鑑賞券セット第一弾の2枚、第二弾の2枚、Loppiでの1枚)を使わず仕舞い(汗)。週替わり特典があるとは言え、そもそも毎週のように足を運ぶことが出来るかな…という不安はあるものの、行けるだけ足を運んでこの”お祭り”の期間を駆け抜けよう、と思います。先ずは来週発売される主題歌「M@STERPIECE」の発売、楽しみでなりません!!
そして願わくば、この映画が大ヒットして来年の10周年で更なる10年の原動力に繋がることを祈っています。
■以下、ネタバレ…
冒頭から「生っすか!?」恒例の劇場版予告映像のスタートに驚かされました。題材が「眠り姫」だったので、てっきり千早が主役の物語かと思いきや、特別編で示唆されていた(笑)美希だったので強烈に納得(笑)。これまで「無限合体キサラギ」「果てしなく仁義ない戦い」とありましたが、今回の「眠り姫」が一番作品として観てみたいかも。タイトル通り「眠り姫」が流れるのは容易に想像出来たものの、まさか最初に流れたのが新曲「Fate of the World」とは! 春香、千早、美希で歌うこの曲、しっかりと聴きたいですね! ちなみに勿論オマケ映画も健在。主役はハム蔵!(笑) それはそうと「生っすか!?」は”レボリューション”となったのは25話で分かりますが、ゴールデンタイムに進出とは!
オープニングが「THE IDOLM@TER」というのも驚きましたが、最も正しい選択とも言えると感じました。しかも「MOVIE EDIT」として新たに作られているので、定番ながらも耳に新鮮さをもたらしましたね。ここに現在の765プロメンバーの活躍ぶりを乗せて、最後に12分割されて765プロの事務所に舞台が移るのもカッコイイ演出でした。初回はもうこの時点で泣いていましたね(笑)。
躍進めざましい765プロのアイドル達の中で、美希はハリウッド映画出演、千早はニューヨークレコーディングなど活躍の場を世界に広げているメンバーも居るのは凄いですが、その他のメンバーも雰囲気こそ変わらないものの、自信に満ち溢れ、活動を心底楽しんでいる表情が伺えて「表面」としての成長を先ずは感じました。劇場予告を観た時に感じた「大人っぽくなった?」という印象は「自信」に由来するものなんだな、と。
ここまでの活躍の1つの集大成として「アリーナライブ」の開催が決定し、そのリーダーに抜擢される春香。その春香を見るみんなの眼差し、特に美希の表情はそれまで積み重ねた色々なものを感じさせてくれました。台詞が無くても、そのちょっとした仕種や表情が全てを物語るのは演出として素敵です。
合宿の地でダンサーとなる「ミリオンライブ!」のメンバーと顔合わせ。矢吹可奈、北沢志保、横山奈緒、箱崎星梨花、望月杏奈、七尾百合子、佐竹美奈子といった選抜は個性が強すぎない中で印象に残って活躍させやすい組み合わせだったそうですが、観終った時にここまで活躍に差が出るとは思っていなかったので、折角出たのですからもう少し各々の活躍が出来たら良かったのに、と思わなくもありません。それでも、今回の物語を構成するのに最適解とも言える印象はあるので、また何処かで活躍の場があれば嬉しいな、と思えただけでも成功だと思います。
話を戻しますが、合宿の地に着いて最初のレッスンで律子のしごき具合が私の中で「アイドル伝説えり子」第4話を彷彿させるものがありまして(笑)、そのシーンを思い出していたら、律子がその「えり子」のレッスンの先生と全く同じ台詞を言って心の中で一人爆笑! この合宿では、様々な部分で765プロのメンバーの成長度合いと、ダンサーチームから憧れられたりする距離感の対比をキチッと描いていて、物語の前提条件が整えられて行くのが分かりました。合宿の充実したキラキラした時間を演出した新曲「ラムネ色 青春」はTVシリーズの5話を感じさせるものがあり、流れる映像演出もお約束要素(響の「獲ったケロー!」、お風呂での千早の「くっ」(今回は安堵の後に落とす二段階に進化)、「ラムネ色」直前には伊織の「変態、ド変態」の四段活用披露など)が観る者に笑顔を運んでくれたと思います。その他、テレビに映る春香と響が唄う「shiny smile」も、ちょっとしたシーンではありましたが印象に残りました(直前には「KisS」が流れていた)。でも、一番印象に残ったのは、プチシューを頬張る可奈が慌てて落とした袋を春香と一緒に拾い上げるシーンの動きかもしれません。必要以上にぬるぬる動いて(「魔法少女リリカルなのは」の高町家の食卓並み(爆))、逆に違和感があったくらいでした(笑)。
合宿の仕上げとして律子を含めた「GO MY WAY!!」のダンスシーンは文句無しの仕上がりで、最近ライブで「GO MY WAY!!」が披露されなくなったので、次回は是非聴きたいなと思わせるくらいでした。そして、プロデューサーのハリウッド研修行きの発表。支えが無くなってしまうことに不安や寂しさを抱く765プロのメンバーですが、ここでの伊織が本心を垣間見せる言動が素敵でしたね。そこから伝播する響、やよい、亜美・真美といったチーム「ビジョナリー」は、こういう場面で印象付けてくれます。真っ直ぐに憧れの気持ちをぶつけられて照れる春香もとても愛らしかったです。尚、合宿に参加していない社長と小鳥さん、善澤記者とたるき亭で呑んでいる席での小鳥劇場は安定のクオリティでした(笑)。
合宿を終えてから、ダンサーチームが本番に慣れるために出演したミニライブで失敗し(この時に流れているのが「MUSIC♪」で、それが心象的にちょっと悪かった(汗))、そこから気持ちのすれ違いが始まる流れの中で、765プロのメンバーも経験した問題に対する向き合い方をどの様に後輩に伝えるか。リーダーとして春香が出来ること、思い描く理想を明確にして行く過程で生じる様々な問題をどの様にクリアして行くのか。難しい部分ではありましたが、誰もが納得の「765プロ」の、そして春香の解決法だったと感じることが出来ました。改めて春香の強さと、ともすれば不器用な対応とも捉えられる春香を支える765プロのメンバーの理解と言動に成長を強く感じました。一歩引いたところでフォローする者、行き過ぎのやり取りを制止する者、自分の考えをしっかり伝える者、さり気無いフォローをする者…、「自分たちで解決しよう」という流れを見守る赤羽根プロデューサーや律子(二人のやり取りは、赤羽根プロデューサーのパーフェクトコミュニケーション振りが光ります)。765プロのメンバーの関係性を見てダンサーチーム各々が感じ取った「教え」は、言葉では伝わらない沢山の事を心に訴えかけていたと思います。
作中では志保が憎まれ役になり、可奈が問題を抱える立ち位置になるので、他の「ミリオンライブ!」のメンバーは物語的に大きな役割が無かった分目立ち辛かったものの、ステージを創り上げる仲間としての役割はきちんと担えていたと感じました(可奈が復帰してからのシーンにそれが強く見て取れた)。可奈が練習に来なくなった原因が、ストレスによる過剰間食であるというのも「そんな理由で!?」と思ってしまう面はありますが、だからこその可奈が一人で頑張ろうとしていた強い気持ちや、上手く行かない惨めさや落胆が際立ち、「プロ」としてあくまでもストイックであり続ける志保との対比を短期間に明確に表現出来た様に思えます。
志保が脱落した可奈に関わり続ける春香に対し「一人の意思を確認する方が練習が進まないことよりも大切なのか」と問い掛けた際、1回目は答えに窮する瞬間のあった春香は、2回目には真っ直ぐ「うん」と言った。そこに至るまでの過程に関わる全ての765プロメンバーたち。練習が遅くなったことで、萩原邸と水瀬邸に2グループに分かれて泊まることになるのですが、このグループ分けもとても良いバランスで、そのどちらにも春香が入っていないことで自然とフォローされる”今”に対するそれぞれの想いが価値のある時間を生み出していたのも素敵でした。ちなみに、春香は千早と一緒に居て、春香の支えになる千早がTVシリーズとは逆の位置に居るのがとても自然で素敵でした。
最終的に考え方がそれぞれであったとしても、1つの”最高のステージを創り上げよう”という気持ちが重なり合えば大きな力になるという意志の元に集った全員。そのステージに至るまでの全てを観て来た我々が感じるカタルシスは勿論最高のもの(今があって未来がある。その時々に出逢った誰かが欠けても駄目。そうしたことが揃った時点で感動が約束された様なもの(笑))。土砂降りと雨上がり、そういった天候を演出に入れるのは良くありますが、TVシリーズでもあったその表現は今回も健在。帰り道、皆で見た夕日のシーンで語られた輝く未来への夢は、今回の映画で語られたテーマの締め括り(「私たちはずっと…でしょう?」や「M@STERPIECE」のBGMアレンジがとても印象的でした)。皆の集合写真をチケットと一緒に同封して千早が母親をライブに招待することも描かれ、劇中では穏やかそのものだった千早の小さな一歩もちゃんと描いてくれたことも嬉しかったです。
そして迎えるアリーナライブ当日。開演前に「みんな一緒」とコサージュを律子に付けるあずささんと微笑むみんなの光景は律子でなくても涙。沢山の想いを繋げて迎えた当日、本番を控えたステージ裏での皆の様子は、私たちも7周年記念ライブで体感した光景そのもの(裏側は映像メディアを介してではありましたが)。それだけに、アニメーションを観ていながらも実体験に裏付けされた感覚も伴って到達する主題歌「M@STERPIECE」の披露は、極上のステージ体験を映画館で味わうことが出来ました。この「M@STERPIECE」はCGをフル活用した表現手法も然ることながら、楽曲も歌詞も最高傑作と言って良いほどに「アイドルマスター」の歴史そのものが全て詰まっているのを感じます。とても胸に響く歌で、1回目よりも2回目に鑑賞した時の方が、より歌詞の一言一句を噛み締めてかなりボロボロ泣いてしまいました(25話の「私たちはずっと…でしょう?」を唄い終わった時、ステージ袖で小鳥さんが号泣しているのと同じ感覚)。間奏部分では「ミリオンライブ!」7名のダンスシーンが映し出され、その頑張りの結果が伝わって来るもので、こちらも号泣ポイント。今回の「アイドルマスター」の劇場版を観て目頭が熱くなるのは、全て「感動させられた」ものではなく、自然と心が動いた結果。台詞も何も無い、1曲フルコーラスが流れてステージ上でダンスが披露されているだけの映像に、何故ここまで感動することが出来るのか。感動の度合いや箇所は人それぞれ違うと思いますが、恐らくこの映画を観た方の多くは、本編中のどこよりもこの「M@STERPIECE」のシーンが一番胸に来たのではないか、そう思います。それが「アイドルマスター」の本質なんだと私は思っています。このシーンのオーディエンスは8周年記念ライブの横浜公演で収録されたものが使用されているとのことで、流石に自分の声は聴こえませんでしたが(笑)、その時の様子や感覚も一緒にこのシーンに昇華したことが嬉しく思います。この「M@STERPIECE」のシーンは、来月開催されるライブに逆輸入されることになると思いますが、それが本当に「M@STERPIECE」がはまる瞬間なのかもしれませんね。
そして赤羽根プロデューサーを空港で見送って迎えるエンドロール。流れる「虹色ミラクル」はアイマス曲ど真ん中。とても765プロらしい印象で、アリーナライブ後のスナップショットを添えて迎えてくれました。アリーナライブ大成功、その後のアイドル達の躍進(真美・やよい・響の新ユニット、美希のハリウッド到着の様子、千早のニューヨークレコーディングの様子、「ミリオンライブ!」のメンバーのオーディション参加の様子(エミリーや風花も居た)、渋谷凛と思しきカット…など)を描き、765プロ事務所のホワイトボードがラストカット…と思いきや、そこには「プロデューサー帰国まであと”0”日」となっていて、まさかの帰国!!(笑) でも、これが作品にとって最も良い形でのラストカットだった様に思います。次作はプロデューサーが戻って来る部分を描く必要もなく、765プロの日常から始められる訳ですからね。次の事務所のフロアレイアウト構想までホワイトボードに描かれていましたし(本編中もこのホワイトボードは要注目の内容(分かりやすいところでは、アリーナライブの舞台構成が書かれている)が盛り込まれていました(笑))、次回作への構想と受け取ってとても期待しています!
それと、ジュピターの面々もしっかり登場してくれましたし(勿論台詞あります!(笑))、876プロの愛、絵里、涼も台詞こそありませんでしたがポスターで結構登場していたので(可奈の部屋にポスター貼ってありましたから、876プロの3名も人気が出て来ているということなのかな?と。嬉しいです)、そういう部分においても隙無く演出された「総決算」と感じました。
今回、特筆すべきは伊織の存在。舞台挨拶でも釘宮さんが述べていましたが、人情家で熱いハートを持っているというのは、しっかり伝わって来ました。人と関わろうとしない志保に声を掛ける伊織、プロデューサーが居なくなることへの寂しさに対する亜美・真美の冷やかしを真正面で受け止めて気持ちをあらわにする伊織、焦りから感情のままに言葉を出した志保を制止し、春香にもしっかり喝を入れる伊織、春香の甘さ対する疑問を投げかける志保に春香への信頼を言葉にする伊織…。本当に伊織の魅力大爆発です。私自身もここまで伊織が良いな、と思える日が来ると思っていなかっただけに、伊織の本質を的確に捉えた演出群には拍手喝采です。
「アリーナライブ」と言っても、約1ヶ月後の舞台となる「さいたまスーパーアリーナ」ではなく、7周年ライブを開催した横浜アリーナが舞台となった今回、取材に裏打ちされた効果も然ることながら、7周年での舞台を体験した者にとって最高のステージの1つであった横浜アリーナは想い出も沢山詰まっており、その疑似体験ともなる効果たるや絶大。TVシリーズの延長線上であることも考えれば(「さいたまスーパーアリーナ」だと大き過ぎかな?と)、今回のステージ選択は文句無しだと思います。アニメの次作があるなら、その時は「さいたまスーパーアリーナ」を舞台にして欲しいですね(その頃、現実ではきっとドームに行ってるはず…!)。
何だか勢いで色々なことを雑多に書き殴り、足りない事も多々ある気もしますが、2回観た結果としては沢山書いた方かな、と思います(笑)。次に観た時、何がプラスされるのか。個人的には「アキハバラ電脳組」を超えられるのか(9回劇場に足を運んだ(笑))、自分でも楽しみです!
《おまけ:エラー?箇所》
- 伊織の服装:事務所で美希のハリウッド行きが決まったことについての話をしている中、「海外なんて行き慣れている」と言う伊織が立ち上がって移動する時、白いワンピースからピンクのワンピース+スパッツに変わっている(これは合宿参加時の服装)。ちなみにカットが変わると元に戻っている。
- 「ラムネ色 青春」のラスト、みんなで唄っているシーンで春香のTシャツの星が赤くない?
- ゴシップ週刊誌の話をプロデューサーと小鳥さんがしているシーンで、プロデューサーが閉じたはずの誌面が、英会話教材を映した際にまた開いている(その後、また閉じている)
- 白いPS3:最初に事務所に置いてあるのが黒いPS3なのに対し、ミリオンの娘たちに現状を確認するために事務所で話を聞く際、黒かったPS3が白くなっている。白いのはXbox360だけのはず?
- プロデューサーのリアクションが早い:空港での見送り。春香がプロデューサーに声を掛ける際、春香の声が聴こえるよりも早くプロデューサーがビクッと反応する。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 【備忘録】2016.10.11~2016.12.31(2016.12.31)
- 「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」鑑賞(2014.01.25)
- 映画ドラえもん「のび太のひみつ道具博物館」(2013.04.06)
- NANOHA The MOVIE 2nd A's(2012.08.04)
「アイドルマスター」カテゴリの記事
- 「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」両日参加(2019.10.20)
- 「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE UNI-ON@IR!!!! SPECIAL」Day1現地・Day2LV参加(2019.09.22)
- 「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 6thLIVE TOUR UNI-ON@IR!!!!」Angel・Princess・Fairy各公演LV参加(2019.06.30)
- 「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROVE☆ 2nd SEASON」高槻やよい回 参加(2018.09.17)
- 「THE IDOLM@STER PRODUCER MEETING 2018 "What is TOP!!!!!!!!!!!!!?"」両日LV参加(2018.08.05)
「ライブ・イベント」カテゴリの記事
- 朗読劇「流離う魂 -小泉八雲の世界-」観劇(2020.12.26)
- 朗読劇「Candle Story」観劇(2020.12.20)
- 「田所あずさ27th BirthDay Event ~11Days later~」参加(2020.11.21)
- 「木戸ちゃん生誕祭 ~みんなでお祝い!みんなで乾杯!カウントダウン生配信~」参加(2020.11.14)
- 「山口立花子『10KOROBI 8OKI』発売記念オンラインサイン会」参加(2020.11.29)
コメント